研究課題/領域番号 |
23500681
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研究機関 | 岩国短期大学 |
研究代表者 |
王 芸 岩国短期大学, その他部局等, 講師 (80457275)
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研究分担者 |
渡部 和彦 広島大学, 教育学研究科(研究院), 名誉教授 (20057699)
浅賀 忠義 北海道大学, 保健学研究科, 准教授 (60241387)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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キーワード | 姿勢制御 / シナジー / 高齢者 / 外乱 / 筋電図 |
研究概要 |
本研究では、障害物を越える動作に伴う筋の共同作用(筋シナジー, synergy)の変化を解析し、予測的姿勢制御(anticipatory postural control)の協調性が外乱条件における姿勢保持機能にいかなる影響を与えるかについて明らかにすることができた。 今年度は、神経系または運動器障害のない健康な若年成人8名を対象にデータ収集・分析を行った。 実験手順としては、1、最大身体動揺シフトの確認:被験者の前方にはモニター画面が設置され、リアルタイムで、被験者のCenter of Pressure (COP)の位置と軌跡を提示した。その際、足圧中心の軌跡をモニターで示し、最大前方シフトと最大後方シフトを確認した。2、身体動揺課題(筋活動モードの同定):足圧中心の軌跡の最大前方シフトの80%と最大後方シフトの60%をターゲットに、モニター画面上に指標(標的)を提示し、出来るだけ円滑に身体を動揺させながら(cyclic body sway task)足圧中心のカーソルをターゲットにシフトさせた(10回施行)。その際のCOPの軌跡と筋電図の活動記録から筋活動モードを同定した。3、障害物を越える課題(筋シナジーを求める):被検者は、フォースプレート上に安静立位で姿勢を保持し、静止立位姿勢から異なる高さの障害物(身長の5%、10%、15%)をまたぎ越える動作を行った(各条件で12回ずつ施行)。その際のCOPの軌跡とFxの数値変動および筋電図の活動記録から、それぞれCOPとFxにおける筋シナジーを求めた。 その結果、健康若年者においては、障害物を越える際、前後方向のバランス保持機能を反映するパラメータとしてのCOPと、下肢筋力発揮のパラメータとしてのFx成分における筋シナジ-の機能が保持されていることを示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、当初の計画の通り、健康な若年成人を用いて障害物をまたぎ超える条件での基礎的資料を得ることができた。すなわち、8名の被験者の筋電図情報と共に、地面反力の資料を得た。その結果、予測的姿勢制御に関する筋群間相互のシナジーを解析することができた。とくに、障害物をまたぎ越える際、前後方向のバランス保持機能を反映するパラメーターとしてのCOPと下肢筋力発揮のパラメーターであるFx成分発現仮定の筋シナジー機能を解析できた。この資料は、高齢者の動作特性を明らかにするための比較研究の重要な知見が得られたものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
次年度には、同様の条件において、健康な高齢者を被験者として実験を行う予定である。とくに、(1)安静立位条件から障害物をまたぎ越えるまでの軸足側のCOP移動軌跡,および筋電図パターンの比較、(2)またぎ越える動作過程における筋群シナジーパターンの比較から、高齢者の安定性および不安定性の原因についての基礎的資料を得たい。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費の使用計画は次のとおりである。次年度の計上している項目のうち、「消耗品」は、主として筋電図の実験に使用する消耗品関係である。「旅費」は、研究成果を学会・研究会等で研究発表をするために充てる。また、謝金は、本研究目的のための被験者および、実験補助員の経費として充てる予定である。
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