本研究はウィーンのオーストリア国立公文書館所蔵の史料を使い、第二次大戦後、オーストリアにおける学校体育の復興過程を分析した。特に1945年以降1955年まで、オーストリアが連合国による占領下にあったことを重要な分析視角に設定した。本研究では新たに、アメリカ占領軍政府がオーストリアの学校体育に自国由来の教育理論や体育実践、特にグループ学習のシステムやバスケットボールなど、を導入しようとしていた事実の存在が明らかとなった。また、戦後オーストリアにおける学校体育復興に関する別の重要な局面は、体育館付設数の少なさであり、オーストリア学校体育が長年にわたり抱えてきた慢性的な問題であることを指摘した。
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