研究課題/領域番号 |
23500689
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
橋爪 和夫 富山大学, 人間発達科学部, 教授 (80189472)
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研究分担者 |
山地 啓司 立正大学, 法学部, 教授 (50012571)
佐伯 聡史 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (80361939)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 身体教育 |
研究概要 |
平成23年度の研究目的は研究の(1)環境整備と(2)日本の児童の調査(3)次年度の海外調査の準備の3点を主に実施することであった。以下にそれぞれの実績の概要をまとめる。(1)環境整備の一つは、器機の製作であった。ステンレス製で軽量かつ高さの調整が連続的にできる逆上がり機器の制作を検討することであったが、検討の結果、費用対効果の面からみて、新規制作よりも既存の移動式器械が良いことがわかった。研究計画どおりに、逆上がりの運動を解析するためのデジタイズプログラムを整備した。(2)富山県射水市立中太閤山小学校の全校生徒を対象者として文部科学省の体力テストと逆上がりができるかできないかの調査を実施した。その結果の一部は8月に同小学校で報告した。小学3年生において、逆上がりのできる・できないは体力と相関が高かった。また、できないながらも、練習すればできると思う児童も体力との関連性が認められた。(3)平成24年度にモンゴル共和国の児童を対象とする国際調査が円滑に遂行されるように研究計画を整えた。富山大学大学院医学研究科に所属するモンゴル国からの留学生ウンダラ氏(研究補助員)と連携してモンゴル国の小学校事情の情報収集、平成24年度の実施計画、調査内容の翻訳の段取りを行った。(4)その他、研究分担者佐伯聡史は体育学運動関連学会に参加して、逆上がりの指導法についての資料を収集した。研究分担者山地啓司は富山大学にて、研究計画についての会議を行った。(5)本研究に関連する報告として、「小学校の体育授業における教師や仲間の言葉がけと運動有能感との関連」(富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要教育実践研究第6号通巻28号平成24年2月p.107-115)を発表した。本研究論文は本研究課題の中心テーマである、児童の運動有能感についての報告である。同様の調査用紙をモンゴル共和国の児童にも行う計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は平成23年度研究実施計画に記述した内容をおおむね達成できた。達成できなかったこと、あるいは、修正したことは以下に示すとおりである。(1)海外で用いる軽量な逆上がり器機を製作することを検討することが目的であった。しかしながら、現在用いている移動式逆上がり器機を輸送するための運搬費の方が制作費よりも安くて、安全性が高いとの結論を得た。(2)小学校での実践指導ができず、アンケート調査だけ行った。できない児童のなかで、やればできると思う児童、やってもできないと思う児童に実践指導を計画していたが、実践の機会を設けることができず、アンケート調査と体力テストのデータ収集・解析のみ達成した。(3)平成24年度には海外調査(モンゴル共和国)を行う予定である。研究補助員であるモンゴル共和国から来日している医学研究科博士課程在籍の留学生とモンゴル共和国の児童を対象とした研究の綿密な計画が具体的に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度は初年度としてはおおむね順調に研究を進めることができた。しかしながら、当初計画で達成できなかったことも含めて以下のように研究を推進する。(1)平成23年度から研究する計画であった日本人小学生に対する逆上がりの実施指導と運動有能感のアンケート調査を実施する。(2)平成24年度には、当初計画にあるように海外調査を実施する。具体的には、逆上がりを見たことも聞いたこともない国と地域として、モンゴル共和国の一地域を計画している。平成24年度の9月にモンゴル共和国に研究補助員の出身地に行き、踏査と指導実践を行う計画である。(3)平成23年度と24年度に行った研究成果を発表するための準備を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度の繰越金は約22万円である。これは、逆上がりの新製品の試作製作の調査費としてに計上していたものと実験補助員の謝金として計上していた予算の未使用分である。次年度は海外調査を実施する計画であるので、研究補助者を1名増員することに配分する計画である。平成24年度の経費のほとんどは当初計画どおり、海外調査の旅費と研究補助員の国内・海外での実験補助の謝金にまかなわれる計画である。
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