研究課題/領域番号 |
23500690
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研究機関 | 愛知教育大学 |
研究代表者 |
上原 三十三 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50293733)
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キーワード | なわとび運動 |
研究概要 |
本年度は,前年度の研究において明らかにされた「連鎖交互跳び」の基本構成要素と発展形態の構造体系論的認識に基づいて「連鎖交互跳び」の学習課題とその解決法を検討し,「連鎖交互跳び」の学習ステップを構想した。そして,この学習ステップの妥当性を授業実践において確認する作業を行った。 学習ステップにおいては予備的な運動として,大きく分類して,次の4課題が設定された。(1)「順とび」を歩,走,ギャロップ,スキップなどと組み合わせて行い,走からスキップへ移行したり,スキップから走へ移行することを組み合わせる運動,(2)「交互回し動作」を,一定のリズムを保って両側側回旋をするなかで行う運動,(3)「交互回し動作」を,両側側回旋の交互回しと半回転転向を組み合わせて行う運動,(4),外側なわを側回旋させて,内側なわをペアが跳ぶ運動を一定のリズムを保って行う。これらの運動課題は,歩・走の運動形式に含まれる要素である「交互動作」と,「順とび」のなわ回旋動作における力の投入の「アクセント感覚」を「運動アナロゴン」として作用させることを期待した運動である。 授業実践の結果,上記の運動課題のなかで「連鎖交互跳び」の動感形態の探索活動に積極的に活用された運動は,(2)「交互回し動作」を一定のリズムを保って両側側回旋のなかで行う運動と,(4)一定のリズムを保って,外側なわを側回旋にして内側なわをペア跳ぶ運動であることが確認された。このことから,運動課題の(2)と(3)については,学習ステップとして一定の妥当性が示された。 しかし一方で,これらの運動課題を用いた練習によっても,「連鎖交互跳び」の運動感覚に共鳴できない事例も少ない件数ではあるが示された。これらの事例から,一つの練習法だけに囚われない学習ステップを用意する必要性が示された。この学習ステップの検討については今後の研究課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3カ年研究の全体計画の概要は,(1)「連鎖交互跳び」の技術分析と運動形式の体系化,(2)「連鎖交互跳び」の学習ステップの作成と検証,(3)「連鎖交互跳び」の指導における問題事例の対処法とデジタル教材化,の3段階である。 第2年目の今年度は,学習ステップの試案を作成し,小学校と中学校において授業実践することができた。その授業実践の成果の一部は,学会発表することができ,また論文として発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
実験授業の受け入れ学校数が十分ではなく,今年度に行った授業実践を記録した映像資料において,指導者の音声がクリアーに記録できていないものについて,補完することができなかったものも生じた。また,デジタル教材として製作中の映像が鮮明で無いものがあった。 今後,映像モデルの被験者数を増員するとともに,映像記録の専門家に撮影依頼してデータ収集を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度は,実験授業の受け入れ学校数が予定を下回ったことにより,旅費に残額が生じた。 映像記録の専門家に撮影依頼するので,このための費用を増額して当てる。また,実験授業に用いる「ビーズロープ」を買い増し,余裕をもって撮影できるように準備する。
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