研究概要 |
今年度は、日本の総合型地域スポーツクラブ関係者、クラブ会員、行政担当者等を対象に、クラブの財務状況や自治体のスポーツクラブに対する公的支援に関するインタビュー調査及び資料収集を行った。調査対象地は、富山県体育協会、ごうどスポーツクラブ(岐阜県)、掛川総合スポーツクラブ(静岡県)等である。 富山県を例に挙げれば、県内61クラブの予算総額(平成23年度)は10億1,824万円であり、年間予算(平均)をクラブの規模別に比較して見ると、100人未満の「小規模クラブ」は84万円、100人以上300人未満、300人以上500人未満の「中規模クラブ」はそれぞれ452万円と680万円、そして500人以上1,000人未満、1,000人以上の「大規模クラブ」はそれぞれ2,010万円と4,820万円であった。会員規模が大きくなるほど予算規模も大きくなっているが、これは単に会費収入の増加によるものだけではなく、指定管理やイベント、教室開催等の業務委託費を得ているクラブが多いことによるものと思われる。 ごうどスポーツクラブや掛川総合スポーツクラブのインタビュー調査からも、クラブ設立当初は助成金や補助金に依存する傾向が見られたが、徐々に自治体等からの信頼を得ながら、委託事業の割合を増やしていく傾向にあることが明らかとなった。 一方、上記のクラブ以外の財務状況を把握するために、ホームページ等で財務関連指標が公表されている15のクラブの分析を行ったところ、公的助成の削減を他の収入によって十分に補償することができず、その存続のために公的助成に頼らざるを得ないのが実情である点も明らかとなった。
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