研究課題
ドイツにおける地域スポーツクラブは、単なる私的な活動ではなく、参加しない第三者、あるいは社会全体に対しても公共の福祉を促進するという社会公益性を有している。一方、日本では総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)に限らず、スポーツの正当性が確立されていない。政策立案に関しても、具体的な数値で国民を説得できるだけの科学的なアプローチがまだ弱い。そこがわが国のスポーツ政策の弱点である。そこで本研究では、地域スポーツクラブになぜ税金が使われるのか。地域スポーツクラブの公共性とは何かについて、日独における地域スポーツクラブの財政状況や国や地方自治体の公的助成に焦点を当て考察を行った。本研究の成果を簡単にまとめると以下の2点である。(1)地域スポーツクラブは、公的な補助金・助成金を受ける権利、税制上の優遇措置、公的施設をわずかの使用料で利用できる権利などが認められている一方、それに対してスポーツクラブが社会のために果たすべき義務も有している。スポーツクラブは会員の利益のために何かをやっていくということだけではなく、同時に社会の公的な利益のために活動していかなければならない。(2)ドイツのクラブの過半数(55%)が財政は良い状態であると答えていたのに対し、日本の総合型クラブの中で「財政状況は良好である」と答えたクラブは3割に満たない。わが国の総合型クラフの自立・自律・自治に向けた取り組みが求められていると言えよう。なお、本研究の成果の一つとして、2014年3月に、クリストフ・ブロイアー・黒須 充編著「ドイツに学ぶ地方自治体のスポーツ政策とクラブ」(創文企画)を刊行した。
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Sports Economics, Management and Policy
巻: 2 ページ: 193-210