研究課題/領域番号 |
23500721
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
澤江 幸則 筑波大学, 体育系, 講師 (20364846)
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研究分担者 |
齊藤 まゆみ 筑波大学, 体育系, 准教授 (00223339)
柄田 毅 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (10383308)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 自閉症 / 運動調整 / 対人調整 |
研究概要 |
今年度は、本件休養のテスト作成に多く時間を費やした。 我が国には本研究の目的を達成するための既存の運動テストはない。また既存のものを複数使用した場合、対象児に対して時間的に多大な負担がかかる。そこで短時間で測定を完了できるように独自にテストバッテリーを構成することとした。加えてこの期間に調査協力者に対するテストトレーニングを行うこととした。 具体的には、運動調整力テストとして、協調運動の関する国際レベルの研究で世界的標準である一方で日本では標準化されていないMovement-ABC2にある項目と、肢体部位の協調運動を把握するためのNeck Warmer Test と Quick Gloves Test、即時運動調整の指標を得るための連続長なわとび課題、身体動作模倣による身体表現の正確性と反応性を知るためのTSUKBA模倣テストを考案した。実際、実践フィールドにおいて、予備調査を実施し、その項目に対する子どもの反応や手続きの修正などを行った。それに加えて、対人的運動調整課題として「ボール運び課題」や「2人で同時の長なわとび課題」を構成し、その実施方法について検討した。加えてその実施によって得られた結果についての検討を行った。 一方で、プログラミングや実行機能についての認知力テストについては、DN-CASやWISC-IVの項目をもとに検討を試みたが、妥当なテストを構成するに至っていない。また社会性テストは、国際的学術誌に社会性の指標として使用されているADOSやADI-Rは、その使用に何重ものの制限が加えられており、国内の研究で使用することは難しい状況であることがわかった。そこで現在、DECSなど国内でも使用可能なテスト項目をもとチェックリストを考案している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、今年度中に、本研究用のテストを作成することを目標としていた。認知力テストと社会性テスト以外は、おおむね順調に考案し、予備調査も実施している。認知力テストについては、今後の調査において、個々の問題事象に則し適時実施し、帰納的に必要とされる認知力とは何かを明確にしていきたい。加えて、社会性テストについては、現在、チェックリスト作成段階である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の目的を達成するため、本研究の目的に理解と協力を示し参加してくれた自閉症児個々に対して、その特性に応じてアダプテッドされた対人調整を必要徒とされる運動課題を実施するとともに、指導前後に運動調整および日常的な対人調整についてテストすることを計画している。すでに、自閉症児をもつ保護者を含めた地域活動グループに、協力の同意を得ている。加えて、個々の問題事象に応じて認知力を調べると同時に、介在要因のひとつである対人調整運動に関する指導内容および学習環境等について記録することとしている。こうした実践的事例を集積し分析を行うこととしている。
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次年度の研究費の使用計画 |
昨年度、既存の複数の検査具(単価10から15万円程度)をもとに研究用テストを作成する予定であったが、検討の結果、上記の「11.現在までの達成度」に記載したように、研究用テストは縮小化された。そのため購入予定だった検査具が小規模となり、次年度への繰越額が発生した。 今年度は、実践的事例を集積するために、1)実地調査における調査協力者に対する交通費と、2)調査結果をパソコンに入力し、資料整理するための人件費、3)実践を行うための用具や評価に必要とされる検査具等の購入に加え、入力作業に必要される記憶媒体等の購入が必要である。加えて、それら集積された情報をもとに分析するために必要とされる4)研究資料、および5)研究者同士による討論会にかかる交通費等、そして結果を公表するために必要となる6)学会への発表と参加費に充てたいと計画している。
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