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2012 年度 実施状況報告書

自閉症児の対人調整を目的とした運動プログラムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 23500721
研究機関筑波大学

研究代表者

澤江 幸則  筑波大学, 体育系, 准教授 (20364846)

研究分担者 齊藤 まゆみ  筑波大学, 体育系, 准教授 (00223339)
柄田 毅  文京学院大学, 人間学部, 准教授 (10383308)
キーワード自閉症 / 対人調整 / 協調運動 / 多様性運動課題 / 動作即時模倣課題
研究概要

本研究の目的である自閉症児の対人調整を目的とした運動プログラムの開発の基礎的資料となる自閉症児の運動面と対人面の「調整」的関連性を明らかにするために、本年度は、4歳から13歳までの合計15名の自閉症スペクトラム障害児に対して、アセスメントを行い、そのアセスメント結果をもとに、個別の対人的運動調整課題を試行的に策定し実施した。
その課題前後の評価として、昨年度までに検討されたMovment-ABC2と動作模倣課題、即時運動調査課題、日常生活動作課題を実施した。そのうち、動作模倣課題では、対象児童の動作を録画し、約1/60秒コマごとに動作分解し、その反応速度を分析した。また、即時運動調査では、対象児の跳躍動作の高さを指標にし、動画記録をもとに高さを算出した。また対象児によっては、その認知的特性が(介在要因)として考えられることが予想されたため、DN-CASやWISC、または田中ビネーなどを実施した。加えて、社会性認知特性を明らかにするためにT0M検査を行った対象児もいた。
個別の対人的運動調整課題内容は、研究者間の協議をもとに策定し、主に動作即時模倣課題やキャッチボールなどの対人調整を必要とする課題に加え、運動調整を促すために多様性運動課題(距離、移動、ボール種類などを変えた課題)を実施した。
実施の結果、対人的運動調整課題の直接的影響を明らかにするまでには至っていない。今後、対象児に対する継続的課題実施が必要である。また多様性運動課題を実施した対象児において、国際的に研究や臨床で使用されている協調運動テストであるMovement-ABCによる評価結果において、想定されたものと異なる結果がみられた。それは運動調整の個人内メカニズムにとっては貴重な知見であったため、その検討を行う必要性が生じた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度予定していた実践的調査は計画通り実施するに至った。そして当面予定したサイズまでには至っていないが、示唆に富んだマルチケースを着実に得てきた。しかしその成果を論文として報告できていない点で「おおむね」と判断した。

今後の研究の推進方策

本年度の調査において、運動調整の個人内メカニズムにおいてしなければならない課題が生じたため、まずそれについての研究調査を行うこととした。その結果も加えて、現在までの調査の結果から考案されたキャッチボールをベースとした介入活動(playing catch based intervention)の妥当性を検討し、対人調整運動プログラムとして作成する。
最後に調査結果全体に対する考察内容を「エビデンス解説」に上記の対人調整運動プログラムに付記する。これらの内容を冊子にし、学校教育関係、療育・障害児保育関係機関等に配布し、他の研究者や指導者と意見交換できる環境を整える。

次年度の研究費の使用計画

運動調整の個人内メカニズムのためのデータ収集および、また対人調整運動プログラムの検証作業のため、1)実地調査における調査協力者に対する交通費と、2)調査結果をパソコンに入力し、資料整理するための人件費、3)それに係る用具等の購入に加え、入力作業に必要される記憶媒体等の購入が必要である。加えて、それら集積された情報をもとに分析するために必要とされる4)研究資料、および5)研究者同士による討論会にかかる交通費等、そして結果を公表するために必要となる6)学会への発表と参加費、加えて運動プログラムを公表するための冊子作成代に充てたいと計画している。
特に今年度の研究において、さらに検討が必要とされた研究課題が生じたことから、1)の実地調査や3)の実地調査に係る用具等にかける費用がかさむと考え、本年度予算の一部を繰り越すこととした。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] 動きをつくる(連載:気になる子どもの体づくり、動きづくり、仲間づくり)2012

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 雑誌名

      月刊実践障害児教育

      巻: 469 ページ: 44-47

  • [雑誌論文] 仲間をつくる(連載:気になる子どもの体づくり、動きづくり、仲間づくり)2012

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 雑誌名

      月刊実践障害児教育

      巻: 472 ページ: 44-47

  • [雑誌論文] ものを操る(3)(連載:気になる子どもの体づくり、動きづくり、仲間づくり)2012

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 雑誌名

      月刊実践障害児教育

      巻: 475 ページ: 48-51

  • [雑誌論文] 障がい者もできるフラッグフットボールのゲーム特性と安全性2012

    • 著者名/発表者名
      加藤達郎・齊藤まゆみ・松元剛
    • 雑誌名

      大学体育研究

      巻: 34 ページ: 47-52

  • [学会発表] 自閉症スペクトラム障害児における「不器用さ」の特性について~Movement ABC 2nd とその他のアセスメント結果をもとに~

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則・柄田毅
    • 学会等名
      日本発達心理学会第24回大会
    • 発表場所
      明治学院大学(東京都)
  • [学会発表] <不器用さ>のあるASD児へのアセスメント(自主シンポジウム:<不器用さ>をどのように規定するか?~身体運動上の不器用さの構成概念についての臨床発達心理学的検討~)

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 学会等名
      日本発達心理学会第24回大会
    • 発表場所
      明治学院大学(東京都)
  • [学会発表] 児童における移動を伴う投動作の評価法

    • 著者名/発表者名
      伊藤森太郎・木塚朝博・澤江幸則・阿江通良
    • 学会等名
      第33回 バイオメカニズム学術講演会
    • 発表場所
      東北大学(宮城県)
  • [学会発表] 身体を通して人や空間につながる力(自主シンポジウム;「 未来の子どもの育ち」をどう考え,支援するか:OECDキー・コンピテンシーを超えて:智・身体・芸術的感性を通した人・環境とのつながり)

    • 著者名/発表者名
      木塚朝博・澤江幸則
    • 学会等名
      日本教育心理学会第54回総会
    • 発表場所
      琉球大学(沖縄県)
  • [学会発表] 協調運動発達からのアプローチ(自主シンポジウム51「自閉症スペクトラム障害児の社会性支援活動における多面的アセスメントについて:表象の共有と協調運動のアセスメントに着目して)

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第50回大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県)
  • [学会発表] 自閉症児の社会性発達と運動発達の機能間連関についての考察II:「手遊び」における表象の共有と動きの調整過程

    • 著者名/発表者名
      中村晋・澤江幸則
    • 学会等名
      日本特殊教育学会第50回大会
    • 発表場所
      つくば国際会議場(茨城県)
  • [学会発表] 発達障害児を対象とした運動発達クリニックの取り組みから(専門領域企画シンポジウム)

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 学会等名
      日本体育学会第63回大会
    • 発表場所
      東海大学(神奈川県)
    • 招待講演
  • [学会発表] 発達障害児のための効果的な運動指導法についての実践的研究(1)

    • 著者名/発表者名
      村上祐介・澤江幸則・齊藤まゆみ
    • 学会等名
      日本体育学会第63回大会
    • 発表場所
      東海大学(神奈川県)
  • [学会発表] 自閉症スペクトラム障害のある子どもの対人的運動調整の特徴(自主シンポジウム;社会性と運動発達との機能連関)

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 学会等名
      日本発達心理学会第23回大会
    • 発表場所
      名古屋国際会議場(愛知県)
  • [図書] 子どもの運動能力を育てる保育,シードブック障害児保育 第2版 第6章(編著:本郷一夫)2012

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 総ページ数
      73~88
    • 出版者
      建帛社
  • [図書] 不器用さのある発達障害の子どもたち 運動スキルの支援のためのガイドブック 自閉症スペクトラム障害・注意欠陥多動性障害・発達性協調運動障害2012

    • 著者名/発表者名
      七木田敦・増田貴人・澤江幸則(監訳)
    • 総ページ数
      175頁
    • 出版者
      東京書籍
  • [図書] 運動発達の問題・障害と支援,発達科学ハンドブック6発達と支援第21章(編集:日本発達心理学会;無藤 隆・長崎 勤 責任編集)2012

    • 著者名/発表者名
      澤江幸則
    • 総ページ数
      219~230
    • 出版者
      新曜社

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公開日: 2014-07-24  

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