• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

オリンピック競技会の文化・芸術性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23500722
研究機関筑波大学

研究代表者

真田 久  筑波大学, 体育系, 教授 (30154123)

キーワード文化プログラム / オリンピック / 芸術性
研究概要

オリンピック競技会の文化・芸術性について、2012ロンドンオリンピック・パラリンピックの文化プログラムの内容について調査した。その結果、スポーツ組織の関係者のみではなく、法律関係者や芸術家、そして平和団体など多方面の関係者が関与していることが理解された。特にロンドン市内にある高等裁判所において、スポーツと法(Sport and Laws)というテーマで行われていたが、法律家がスポーツの運営を法学的にとらえるなどユニークな視点を発見できた。
パラリンピック関連では、パラリンピック競技の起源とされているストークマンデビル病院におけるグットマン博士と障害者のためのスポーツの展示について調査した。それによれば、スポーツが脊髄損傷者の機能回復に大きな効果を果たしたことがわかりやすく展示されていた。同時に、今日のパラリンピック競技の激しさは、当初の趣旨から逸脱している面もあることが確認され、今後のパラリンピック競技のあり方を考えさせる内容でもあった。これらの文化プログラムは、今後のオリンピック・ムーブメントを考えさせる内容が含まれており、原点に立ち返る機会を持ちながら、文化プログラムを構成していくことの重要性が示唆された。
ギリシャで行われた第5回ネメア競技祭についても調査を行った。今回の大会はネメアの競技場の選手入場門が復元され、それを披露する大会でもあった。選手入場門(トンネル)は、現実から神域へと変容する重要なツールであることが理解された。
これらを踏まえて、古代の競技の復元を筑波大学附属高校と附属中学校の保健体育の授業で実施し、それに関与した。生徒たちは古代の競技についての体験を通して、古代人の考えるフェアプレーの精神などを理解するなど、古代のようすを体験することの教育的重要性を確認できた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今後のオリンピック競技大会において理想となる文化プログラムのあり方について考察し明らかにすることが本研究の目的である。これまでの研究では次の事がいえる。古代の競技を体験することにより、それぞれの時代におけるフェアプレーや公平性などの観念を理解することができる。またそれらのことを文化的なプログラムと形成していくことが重要であるかということが確認された。そのような視点で文化的な行事やプログラムを形成していくことが重要であると思われる。
また、創設者の思いを文化プログラムにするのも大切なことであることが、パラリンピックの創設者であるグットマン博士の展示や文化プログラムを通して理解することができた。これらのことは、原点に立ち返って現代の立ち位置を確認するという意味で重要である。ただし、過去の創設者の思いはその時代的な制約の下にあるので、そのことも理解した上で現代的、将来的な展開が必要である。
日本でオリンピック・パラリンピックが近い将来開催された場合、日本のオリンピック・ムーブメントの創設者でもある嘉納治五郎の理念と行動に基づいた文化プログラムを形成することの意義も示唆された。

今後の研究の推進方策

日本で近い将来、オリンピック・パラリンピックが開催された場合、嘉納治五郎の理念に関係した文化プログラムの形成を作成する必要がある。そのことで日本のオリンピック・ムーブメントのあり方を考えていけるような文化プログラムを提供することにつながると思われる。単に鑑賞する文化・芸術プログラムというのではなく、ロンドンのオリンピック・パラリンピックを通して将来を考えていけるようなものが求められている。嘉納治五郎に立ち返って考えられる文化プログラムとはどのような内容であろうか?それについても今後考察していきたい。
また2014年の2月にはソチで冬季オリンピック・パラリンピックが開催される。ここで注目されるのは、ソチオリンピック大学の活動である。ここでは多様な文化教育プログラムが展開される予定である。この例を踏まえて今後、大学などの教育機関と連携した文化プログラムの内容を検討することで、今後の望ましいオリンピック・パラリンピックの文化プログラムのあり方とムーブメントの文化芸術性について考察したい。

次年度の研究費の使用計画

次年度は最終年度であるので、全体のまとめとなる着地点を考えつつ研究費を使用したい。
旅費としては、ソチオリンピック・パラリンピック競技大会に関係した文化プログラムや芸術展示などの調査に使用したい。あわせて、ソチオリンピック大学の文化芸術活動についても調査したい。時間的に余裕がないかもしれないが、そうした経緯を踏まえて、最終的にオリンピック・パラリンピックの文化プログラムや芸術プログラムのあり方をまとめたい。
繰越額が生じたのは、人件費に含まれる保険料の計算に誤差が生じたためである。この金額と合わせて、嘉納治五郎のオリンピックやスポーツに関する理念と関連づけた文化プログラム作成のための資料を収集したい。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] 日本におけるオリンピック教育研究の現状と今後の展開2012

    • 著者名/発表者名
      竹村瑞穂, 真田久, 大林太朗
    • 雑誌名

      台湾身體文化學報

      巻: 14 ページ: 1-13

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 関東大震災後(1923年)後の競技力向上とスポーツ公園の造営2012

    • 著者名/発表者名
      真田久
    • 雑誌名

      平成23年度日本体育協会スポーツ医・科学研究報告日本体育協会創成期における体育・スポーツと今日的課題

      巻: 3 ページ: 5-12

  • [学会発表] The legacy of Prof.Jigoro Kano2012

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Sanada
    • 学会等名
      The 1st International Indo Japanese Conclave
    • 発表場所
      Manav Rachna University ( India)
    • 年月日
      20121222-20121224
    • 招待講演
  • [学会発表] 体育理論の授業におけるオリンピック学習-古代オリンピックの体験的学習・錘を持った幅跳び.2012

    • 著者名/発表者名
      宮﨑明世, 真田久
    • 学会等名
      日本スポーツ教育学会第32回大会
    • 発表場所
      中京大学(愛知県)
    • 年月日
      20121110-20121111
  • [学会発表] 体育理論「国際的なスポーツ大会などが果たす文化的な意義や役割」の授業について2012

    • 著者名/発表者名
      三浦裕, 田原淳子, 舛本直文, 真田久
    • 学会等名
      日本スポーツ教育学会第32回大会
    • 発表場所
      中京大学(愛知県)
    • 年月日
      20121101-20121102
  • [学会発表] Disciples of Jigoro Kano2012

    • 著者名/発表者名
      Hisashi Sanada
    • 学会等名
      International Congress by Italian Association of Sport Education
    • 発表場所
      Piemonte Orientare University (Italy)
    • 年月日
      20121019-20121021
    • 招待講演
  • [学会発表] he New Olympic Education initiative in Japan2012

    • 著者名/発表者名
      Akiyo Miyazaki, Toshiyuki Okeya, Hisashi Sanada
    • 学会等名
      The First International Colloquium of Olympic Studies and Research Centre
    • 発表場所
      Loughborough University (Great Britain)
    • 年月日
      20120725-20120726
  • [備考] オリンピック教育プラットフォーム

    • URL

      http://core.taiiku.tsukuba.ac.jp

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi