研究概要 |
内容:先進的な競泳のターン・スキルを提案する目的で3 つの実験を計画した.1)肩甲帯の挙上の有無により異なるストリーム・ライン姿勢とグライド速度の関係を検討するために,ポータブル3D スキャナで全身をスキャンし,身体各部の長さ,断面積,アラインメントに関する計測を行った.2)クイック・ターン動作を水中カメラで撮影し,アプローチ,回転,着壁,グライド,ストロークの準備について2次元DLT 法により動作分析を行った.3) タッチ・ターン動作をクイック・ターンと同様に撮影し,回転時の頭部の高さの違いによる所要時間の相違を検討した.その結果,肩甲帯の可動性により肩を引き上げ,三角筋で耳を挟むようなストリームライン姿勢のグライド速度が速い傾向にあった.また,クイック・ターンは回転期の頭の軌跡を楕円近似した.近似楕円における長軸の水平からの傾きが小さく,短軸が短い軌跡はターンパフォーマンスが高いことが示された.さらに,タッチ・ターンでは,回転時の頭の高さは水面に近い方が回転期を短縮できる可能性が示された.これらの要素が先進的なターン・スキルとして提案された. 意義:先進的な競泳のターン・スキルの提案により,国際競技力が高まることが期待される.また,ヒトの回転と並進の挙動について明らかにする運動学的意義が認めらる. 重要性:よりよい動作様式を提案することが新たなスキルの創生につながり,基礎研究を実用レベルに発展させたことに重要性が認められる.
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