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2011 年度 実施状況報告書

競技力に反映される最適覚醒水準モデル構築に向けた精神生理学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23500731
研究機関奈良女子大学

研究代表者

星野 聡子  奈良女子大学, 文学部, 准教授 (80314524)

研究期間 (年度) 2011-04-28 – 2014-03-31
キーワード覚醒水準 / 情動 / 快・不快 / 自律神経系 / バイオマーカー / 競技力 / 精神生理学 / フィギュアスケート
研究概要

本申請研究は,スポーツの競技ストレス事態下で選手がどのように「挑戦的でやる気をもって課題に立ち向かえるか」という思考過程を,生理指標の振る舞いに反映される「覚醒」と「情動」の関係性から評価することを目的として進めている. 生理指標は,ポリグラフによる電気生理学的手法およびストレス・バイオマーカーを用いた非侵襲の手法を用い,ストレス反応を自律神経系と内分泌系に求め包括的に分析する.そして,覚醒水準と「快-不快」情動との関係に,パフォーマンスレベルを規定する手がかり機能を介在させてモデル化することで,運動遂行のための最適覚醒水準同定モデルの構築を試みる. 情動行動中枢である大脳辺縁系由来の振る舞いは,視床下部を経由し自律神経系指標に投射されるが,なかでも心臓活動では「ドキドキ」する内的感覚を鮮明に抱くことがある.この覚醒上昇は,正もしくは負の情動のいずれを反映したものなのだろうか ?  申請者は,これまでの研究結果から「胸の高鳴りはポジティヴな思考過程である自己効力感を導くポジティヴな情動の表れとして生理的覚醒を示す一指標になりうるのではないか」という観点に立つ.そして,Schandry (1981)による「内臓知覚への認知は情動経験の要因に付随して起こり,心臓活動性知覚の精度は不安の高まりを反映する負の情動の産物」という是非について検討していく.この問題解決には、自律神経系反応やストレス・バイオマーカー反応がこの説明変数として有効ではないかと考えられる.  初年度は,まず関連文献のレビューをし、それとともに予備的な調査・実験を進めた.実際の競技ストレス場面において,フィギュアスケート選手の競技会に臨む情動・気分の変化とパフォーマンスの関係についてフィールド調査を行い,詳細に検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は,技の正確性と表現力を競い、精神力が重要視される個人型スポーツのフィギュアスケートについて青年期前期女子を対象として国際大会経験者あるいは国際大会挑戦者の競技に向けた心理的・行動的ストレス反応を長期的に観察したる.選手の特性的心理的競技能力の測定にはDIPCA.3 ,競技中や競技前の心理状態の測定にはDIPS-D2, DIPS-B1(トーヨーフィジカル)を使用し,プログラム内容の挑戦課題への動機づけと関係から考察した. しかしながら、この調査において生理的反応の検討には至らなかった.この理由としては、内分泌系反応からストレスを定量化する比較的計測が簡便なストレス・バイオマーカーがこの説明変数として有効ではないかと考えたが,ポジティヴ情動の測度として適当な指標を選定できなかったことにある. この部分を補うものとして、実験室内でのメンタル運動課題(ダーツ課題)時の脳内局所血流動態から精神生理学的検討を行い,「ストレス・情動-パフォーマンス-最適覚醒水準モデル」について,不安と脳賦活の関係を明らかにした.  以上の結果は、奈良体育学会,日本体育学会(2本)で発表し,奈良体育学会誌および奈良女子大学スポーツ科学年報(印刷中)に掲載された.

今後の研究の推進方策

次年度の計画としては,前年度の挑戦課題と心理指標の関係から明らかとなった結果をもとに,「ストレス・情動-パフォーマンス-最適覚醒水準モデル」に沿って,より詳細な実験を重ねる.すなわち,無意識にも課題への取り組みの態度を変容させる生理的覚醒水準の変動,および,それに伴う生理的ストレス反応の変化やパフォーマンスの変化について,種々のスポーツ種目および日常ストレス場面を想定した実験を実施し,データを正確に収集する.具体的には,ストレス事態に先行して長期的に生理指標の測定を行う. 生理指標には,非侵襲的手法を用いて連続血圧測定,心電図,呼吸,末梢部位の皮膚電気活動,表面皮膚温度,眼球運動や視覚探索活動,バイオマーカーなどを適宜選定し,多変量測定を試み,実践の場での簡便な有効指標を探る.さらに選手へのフィードバック(バイオフィードバック,結果の知識の提供など)することにより変容する生理的覚醒水準や気づきとパフォーマンス結果の関係を検討する. これらの結果は,国内の学会や研究会において積極的に発表し,他の研究者と意見を交換する機会を持ち,論議を深めることに努力する.

次年度の研究費の使用計画

研究費の使途については,申請時に設備費として予定していたアンプシステムの一部(アクティブ電極)を昨年度に必要に迫られ購入を済ませたため、旅費(調査、学会旅費)および、種々の生理的データ測定用経費に、適宜充当するように変更することとする.

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ジュニア期フィギュアスケート選手における演技プログラムと心理的コンディショニングの検討2012

    • 著者名/発表者名
      大島 悠・ 星野 聡子
    • 雑誌名

      奈良女子大学スポーツ科学研究

      巻: 14 ページ: 印刷中

    • 査読あり
  • [雑誌論文] フィギュアスケート競技選手の心理的競技能力2011

    • 著者名/発表者名
      大島 悠・三井悦子・星野聡子
    • 雑誌名

      奈良体育学会研究年報

      巻: 15 ページ: 7-13

  • [学会発表] フィギュアスケート・ジュニア選手の心理的競技能力と競技会別心理状態の検討2011

    • 著者名/発表者名
      大島 悠・ 星野 聡子
    • 学会等名
      日本体育学会第62回大会
    • 発表場所
      鹿屋体育大学
    • 年月日
      2011年9月27日
  • [学会発表] ダーツ課題中の情動シフトに伴う前額面局所酸素動態- リバーサルセオリーを用いて -2011

    • 著者名/発表者名
      星野聡子
    • 学会等名
      日本体育学会第62回大会
    • 発表場所
      鹿屋体育大学
    • 年月日
      2011年9月26日
  • [学会発表] フィギュアスケート競技選手の心理的競技能力の検討2011

    • 著者名/発表者名
      大島 悠・ 星野 聡子
    • 学会等名
      奈良体育学会
    • 発表場所
      奈良女子大学
    • 年月日
      2011年11月27日
  • [図書] 省エネ生活の知恵コラム2012

    • 著者名/発表者名
      三木健寿・星野聡子
    • 総ページ数
      83
    • 出版者
      「女性を核とした健康増進と省エネにつながる生活モデルの構築」プロジェクト(奈良女子大学)

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公開日: 2013-07-10  

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