覚醒と情動行動中枢である大脳辺縁系由来の生理応答の中でも,心臓活動のドキドキする感覚は鮮明である.ストレス事態下での実力発揮には心身の微調整が必要不可欠である.本研究では,パフォーマンスと最適覚醒水準との関係を示す生理応答を、情動理論であるリバーサルセオリーに依拠して検討することを目的とした.得られた結果は次のとおりである. ①不安特性の違いによって、心拍増加は不安という負の情動のみを反映しない可能性が示された.②技能よりもやや高い挑戦課題では心拍減少は興奮または不安を反映し,不安感情では脳の賦活が認められた.③課題への能動的・受動的対処が心臓活動性応答の違いに顕著に示された.
|