本研究では,総合運動部の設置が進んでいる熊本市を対象に総合運動部の設置に至る経緯や設置状況及びその活動状況を明らかにすること,さらに総合運動部が設置されている小学校児童のスポーツやスポーツクラブに対する意識,スポーツ実施状況,スポーツ実施の希望等を調査により明らかにし,総合運動部が児童のスポーツ実施に果たす機能について明らかにすることを目的とした. 熊本市では,教育改革プログラムの一環として,また,具体的な運動部の活動を規定する運動部活動の指針において,総合運動部の設置を進めることを謳い,総合運動部の活動を展開してきた.総合運動部の設置や活動状況についての聞き取り調査では,平成23年現在,総合運動部の設置校は24校,35部となっており,約800人が総合運動部で活動している.総合運動部の設置経緯については,水泳のみの活動から水泳のシーズン以外に他のスポーツ種目を実施するようになったケース,新たに年間計画を立て,複数種目を実施するようになったケースなど,学校により異なっている. 児童に対する質問紙調査の結果,総合運動部は男子より女子の加入者が多く,女子のスポーツ参加を促進するクラブとなっている.総合運動部ではスポーツの楽しさを味わい,友達をつくり,友達となかよく活動することが重要な要素となっている.総合運動部の活動日数は週2日まで,平日の練習時間は2時間までとなっており,スポーツクラブ未加入者のクラブ加入条件・ニーズと合致している.総合運動部はこれまでスポーツクラブへの加入を躊躇していた者にスポーツの場を提供し,スポーツの楽しさを味わわせ,スポーツの実施を促すことができる組織として機能することが期待される.
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