研究課題/領域番号 |
23500736
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
中西 純司 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (90243849)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | スポーツ経営 / サービス・クオリティ / 顧客満足・不満足 / 顧客苦情 / 顧客苦情行動 / 顧客ロイヤルティ / サービス・リカバリー / サービス・リカバリー・パラドックス |
研究概要 |
本研究では,「苦情と真の顧客ニーズとは表裏の関係にある」(佐藤, 1984)という観点から,スポーツ経営における「顧客苦情マネジメント」の理論と技術について吟味していくことを究極的な目的とした上で,民間スポーツ・フィットネスクラブ(以下,「民間クラブ」という)のスポーツ経営に焦点をあてながら,研究課題A:サービス・リカバリー戦略を含む顧客苦情マネジメント研究,研究課題B:顧客苦情行動研究,研究課題C:サービス・クオリティ/顧客満足・不満足研究の3つの研究課題を設定し,3年間の研究を進めている。 今年度は,研究課題A「民間クラブ側は顧客としてのクラブ会員の苦情行動に対してどのような顧客苦情マネジメント戦略を策定・実施しているのか」について研究を進めた。その結果,民間クラブ経営における顧客苦情マネジメント戦略の仮説的概念モデルを構築することができた。具体的には,a.顧客苦情マネジメント哲学,b.苦情促進,c.苦情受理,d.苦情処理,e.サービス・リカバリー戦略(苦情対応,苦情内容分析,苦情情報管理,苦情情報報告,苦情内容のフィードバックと活用,信頼回復活動),f.顧客苦情マネジメント体制の確立(人的資源,組織体制・組織風土),g.苦情マネジメント技術の整備・充実といった7つの仮説的構成概念から構築された。 こうした仮説的概念モデルに従って,「民間クラブの顧客苦情マネジメント戦略に関する質問紙調査票」を作成し,全国の民間クラブ約3,400ヶ所の中から6ブロック1,000クラブを無作為抽出し,配付郵送調査法による質問紙調査を実施した。その際,「調査趣旨説明書」と「調査協力承諾書」も同封し,調査に協力できるようであれば調査協力承諾書と調査票を返送して頂くよう指示した。現在,質問紙調査票の回収中であり,今後,回収状況次第で(必要標本数346クラブを目標),催促状を送付する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の研究課題Aの実施にあたっては,民間クラブ経営における「顧客苦情マネジメント戦略モデル」の構築をめざして,(1)顧客苦情マネジメント戦略に関する仮説的概念モデルの構築,(2)顧客苦情マネジメント戦略に関する質問紙調査の作成と実施(郵送と迅速な回収),(3)回収された質問紙調査票のデータ入力・分析作業の実施,(4)民間クラブ経営における顧客苦情マネジメント戦略モデルの提示,そして(5)研究成果の公開(学会発表と学術雑誌への投稿)と調査研究報告書の作成・配布,といった手続きで研究を進める予定であり,そのための予算も計上していた。 しかしながら,現段階では,上記(1)と(2)までしか達成できておらず,質問紙調査票回収後の調査データ整理・加工作業(エディティング・コーディング・データ入力などの諸作業),及び現有の統計解析ソフト(SPSS Base Ver.17.0J)による集計・分析作業を行っていないため,民間クラブにおける顧客苦情マネジメント戦略モデルについて実証的に明確にできていない。また,そうした貴重な研究成果等を,学会において口頭発表しておらず,学術団体等が発行する学術雑誌などへの原著論文としての投稿も行えていない状況である。さらには,調査協力クラブへの情報フィードバックでもある「調査研究報告書」の作成・配付も行っていない。 以上のような達成状況に鑑み,「(3)やや遅れている」という自己評価とした。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策としては,平成23年度中に遂行すべきであった,以下のような諸手続きを円滑に実行することが最優先課題である。(1) 現在,1,000ヶ所の調査協力クラブに対して平成24年3月末に郵送した質問紙調査票の回収を行っているので,回収状況(必要標本数346クラブをめざして)を見ながら,催促状の送付と調査データ整理・加工を行うための作業従事者を3人ほど雇用する。(2) 上記の諸作業を円滑に実施していくために,現有のノート型パーソナルコンピュータ2台と,平成23年度中に購入予定であったノート型パーソナルコンピュータ1台を迅速に購入する。(3) 調査データの整理・加工作業が終了し次第,速やかに,現有の統計解析ソフト(SPSS Base Ver.17.0J)により集計・分析作業に取り組む。(4) 調査データの集計・分析作業を迅速に終了させ,研究成果の公開準備(学会発表や論文投稿,及び調査研究報告書の作成等)に取りかかる。とりわけ,学会発表については,平成24年8月22~24日に開催される日本体育学会第63回大会(東海大学湘南キャンパス)において発表する予定である。 続いて,平成24年度以降からは,研究課題B「不平・不満を持ったクラブ会員(退会・離脱者までを含む)はどのような苦情行動を選択し,民間クラブ側の顧客苦情マネジメント戦略,とりわけサービス・リカバリー戦略に対してどのような反応をしている(した)のか」(平成24年度),及び研究課題C「クラブ会員の苦情行動の源泉となる,『サービス・クオリティ』と『顧客満足・不満足』という評価概念はどのように違うのか」(平成25年度)について,継続的かつ計画的に遂行していくこととする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年度においては,研究活動以外の諸業務が当初の想定を上回り,また平成24年4月1日付けで所属研究機関を変更することに伴って,「11.現在までの達成度」でも自己点検評価したように,(3)回収された質問紙調査票のデータ入力・分析作業の実施,(4)民間クラブ経営における顧客苦情マネジメント戦略モデルの提示,及び(5)研究成果の公開と調査研究報告書の作成・配布,といった3つの手続きを終了させることができなかった。そのため,こうした3つの手続きに充てるはずの研究費が未使用となってしまった。したがって,今後の推進方策でも説明したように,現在も鋭意進めているが,こうした3つの手続きと平成23年度未使用研究費の適正かつ円滑な執行を平成24年7月下旬頃までには終了させるよう努める。 これらの諸手続と同時並行しつつも,平成24年度8月初旬頃からは,研究課題B「不平・不満を持ったクラブ会員はどのような苦情行動を選択し,民間クラブ側のサービス・リカバリー戦略にどのような反応をしている(した)のか」を吟味するために,研究課題Aの成果なども踏まえて,「顧客苦情行動とサービス・リカバリー戦略との因果関係モデル」を構築し,いくつかの有益な仮説群を演繹する。と同時に,「サービス・リカバリー戦略に関する質問紙調査票」を作成し,平成23年度に調査票の回収ができた民間クラブの中からブロック毎に1クラブを無作為抽出し,合計6ヶ所の民間クラブにおけるクラブ会員(既存,退会会員の両者)に対する質問紙調査を実施する。最後に,調査票回収後,調査データの整理・加工を行い,統計解析ソフトにより因果関係モデルの妥当性と有効性について検証し,研究成果の公開を迅速に行っていく。 以上のような研究計画に従って,平成23年度及び平成24年度研究費とも,「交付申請書」(平成23年5月23日作成)に基づく交付予定額を適正に執行する予定である。
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