研究課題/領域番号 |
23500738
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
後藤 貴浩 熊本大学, 教育学部, 准教授 (20289622)
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研究分担者 |
徳野 貞雄 熊本大学, 文学部, 教授 (40197877)
伊藤 恵造 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40451653)
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キーワード | 地域組織活動 / 地域スポーツ活動 / 農山村 / コミュニティ形成 |
研究概要 |
本年度は、熊本県球磨郡五木村を対象に、地域社会分析に必要なデータ並びにスポーツ組織活動の実態把握に必要なデータの収集を行った。現地調査では、役場職員を対象に、聞き取り調査・資料収集を行った。また、地域の「語り部」や公民館館長を対象に聞き取り調査を行った。 五木村では、長年、ダム建設に揺れ動き、多くの世帯が挙家離村することとなった。人口は、1960年に6,161人であったが、2014年には1,251人と大幅に減少した。世帯数も、1960年1290世帯から2014年523世帯となっている。また、一人暮らし世帯が81世帯、2人暮らし86世帯となっており、高齢化率は43.5%と非常に高い。木材価格の低迷により、基幹産業であった林業は衰退し、現在はサービス業および建設業が主な産業となっている。中でも、ダム関連工事のあとも、防災関連の公共事業が盛んに行われており、建設業は、男性住民の大きな働き口となっている。一方で、地勢的に平たん部が極めて少なく、急峻な地形であることから、田畑は0.6%と少なく、自家消費を主とした農業が営まれてきた。 このような背景の中で、地域の活動は衰退し、様々な行事が縮小・消滅している。スポーツ活動についても、村民運動会がなくなり、自主的なスポーツ組織活動はバドミントン、バスケット、ビーチバレー、グランドゴルフの4種目に限定されている。しかし、4つの公民館を中心としたスポーツ活動は、地域ごとに継続されており、H26年度はそれらの活動の詳細について分析を試みる。 農村とは異なる、山村の共同性をどのように把握するかが重要なカギになると思われる。人口減少や代替地への移転、挙家離村など地域構造の変化の中で、村全体ではなく、小地域でどのような共同性が担保されてきたのか、そのことが現在の公民館活動にどのように連なるのかということについて、調査を継続している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に検討した分析枠組みをもとに、昨年度の小国町に引き続き、今年度は五木村での現地調査・分析を行うことができた。地域構造、生活構造が大幅に変容する中で、山村特有の共同性の存在とスポーツ活動への影響を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
五木村での詳細な現地調査を継続する。また、これまでの2地域の現地調査を踏まえ、先行研究における知見を参照し、データの分析・考察を行う。その上で、人口減少・超高齢化社会におけるスポーツ組織活動とコミュニティ形成に関する理論について検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
対象者の都合上、現地調査を実施する回数が、予定した回数よりも少なかった。 実施することができなかった現地調査については、対象者と相談のうえ、次年度に実施する予定。
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