研究課題/領域番号 |
23500741
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
田中 孝夫 鹿屋体育大学, スポーツ・武道実践科学系, 教授 (60274867)
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研究分担者 |
荻田 太 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50224134)
斉藤 和人 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (50170494)
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キーワード | 一流競泳選手 / 国際競技力 / 体力的指標 / 力学的指標 / 泳パフォーマンス / 抵抗 / 最大推進パワー |
研究概要 |
【目的】本研究の目的は、年間を通じ、一流競泳選手の代謝(体力)的・力学(技術)的指標がどのように変化し、それが泳パフォーマンスの変化とどのように関係しているかを明らかにすることであった。 【方法】全国大会、あるいは国際大会での入賞経験を持つ強化競泳選手6名(男子2名、女子4名)を対象者とした。測定項目は、最大酸素摂取量、最大血中乳酸濃度、OBLAにおける泳速度(V@OBLA)、最大推進パワー、泳速-抵抗関係(抵抗係数、抵抗指数)とし、これらの指標をトレーニング内容の異なる3期にわたって測定した。また、期毎に200m全力泳記録を測定し、記録の変化と各指標の変化との関連性について検討した。 【結果及び考察】各期の最大酸素摂取量、最大血中乳酸濃度を比較してみると、統計上有意な変化は認められなかったが、ほとんど変わらない被検者や、±10%程度の変化を示す被検者など、変化はさまざまであった。しかしながら、タイムトライアルにおける記録はほぼ安定しており、各期の差の平均は-0.3±1.6%にすぎなかった。同様に、抵抗係数と抵抗指数より推定された泳速1.7m/sのときの抵抗値においても、各期の差を平均すると0.7±4.9%と非常に小さかった。最大推進パワーについても、年間を通じ有意な変化は認められず、各期の差は0.6±5.8%であった。以上の結果より、一流競泳選手においても、代謝的な要因は、1年を通じて比較的大きく変化することが明らかとなったが、必ずしもこの体力の変化が大きな記録差となって現れることはなかった。一方、力学的要因については、非常に再現性が高く、安定した値が観察され、それを反映するよう泳記録も安定していた。これらのことより、一流競泳選手の泳パフォーマンスは、代謝的要因よりも、力学的な要因をより反映した結果であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度に掲げた研究計画は順調に遂行され、予定通りに結果も得られた。特に計画以上に進んだということはないが、25年度の計画に向けて、研究機器、被検者・検者の確保など、研究遂行上なんら問題なく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
25年度は、パフォーマンスと深く関連していると考えられた特異的指標の向上を目指した新たなトレーニングを計画し、粛々と進める予定である。ただし、9月までは選手、特に一流選手はシーズントレーニングのため、まとまった時間を見いだす事は困難であることが予測されることから、それまではプロトコール確立のためのプレテストなどを行い、10月以降実験を進める予定である。 現在のところ、実験装置、設備、消耗品等に不備はなく、計画通り実験遂行可能な状況であるため、計画変更や問題点への対応策は考えていない。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の直接経費は130万円が予定されている。内訳は、消耗品等の物品費に65万、トレーニング実験の被検者、および実験補助者に対する謝金を20万、学会発表に対する旅費を30万、英文論文校正費、別刷り代などとしてその他で15万を計上している。尚、研究分担者2名には、各10万ずつ、旅費あるいは物品購入費等として、配分予定である。
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