研究課題/領域番号 |
23500743
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
前田 明 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 教授 (40264543)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | パフォーマンス |
研究概要 |
ゴール型球技選手は、試合中一瞬のうちに、味方や相手の選手の位置取りを把握してプレーを進めなければならない。その際ビルベーリー含有食品を摂取することで、運動中のそれらの能力を助けるのではないかと考えた。そこで本研究では、ビルベリーエキス含有食品の摂取が運動中の瞬間視力及び色識別能力に及ぼす影響を明らかにすることを目的として研究を行った。 被検者は、インフォームドコンセントが得られたゴール型球技種目の大学選手10名であり、自転車エルゴメータを用いた運動中の瞬間視力と色識別能力を測定した。運動負荷は75%HRmax相当の運動を15分行った。運動の2時間前にビルベリーエキス含有食品、あるいは見た目も味もまったく同じに作られたプラセボのどちらかを摂取した。この際、検者被検者ともどちらがどの食品であるかわからないようにするダブルブラインド法を用いた。瞬間視力と色識別能力のテストは、運動前、運動中7.5分後、運動終了後、そして運動後30分まで5分ごとに測定した。瞬間視力の測定は先行研究にならい、パソコン画面に0.1秒間8桁の数字を3回提示し、認識できた正解数にて評価した。色識別テストは、ゴール型スポーツの試合中、味方及び相手を想定した赤と青のマークを碁盤の上にランダムに表示し、それを短時間で把握させるテストであり、色と位置取りの正解数にて評価した。 その結果、プラセボ摂取条件では運動中瞬間視力、色識別テストともに有意に低下したものの、ビルベリーエキス含有食品摂取条件では、いずれも高いまま維持した。ビルベリーエキス含有食品中のアントシアニンが網膜のロトプシン再合成を助けたのではないかと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ビルベリーエキス含有食品がスポーツパフォーマンスに及ぼす研究について多角的に進める予定であるが、第1の研究が上記のように完結し、第2実験も進めつつある。 これまでの基礎的研究から、実践的スポーツ科学の分野の研究においても成果が現れる可能性は十分考えられたが、今回の第1の研究において、その信頼性が高まったといえる。また第1の研究が成功したことから次の実験にスムーズに移行することができ、当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ビルベリーエキス含有食品の摂取が運動中の視覚機能に好影響を与えることがわかってきたことから、今後は、様々なスポーツ種目のパフォーマンスにどのような効果があるかを明らかにしていく予定である。特に球技種目では瞬時に速いボールを見極めたり、相手の動きに合わせてできるだけ早く自分の動きを決定しなければならない。また安静状態とゲームの後半を意識したような疲労状態ではパフォーマンスは異なるものと考えられる。このような疲労を伴う状態において、ビルベリーエキス含有食品の効果が認められれば現場での活用度が増すものと考えられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は実験を複数行っていくため、実験遂行のための検者やデータ処理のための謝金が多くを占める予定である。備品を購入する予定はなく、旅費は研究成果を学会にて発表することが主目的である。
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