研究課題/領域番号 |
23500746
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
伊藤 克広 兵庫県立大学, 経済学部, 准教授 (90405366)
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キーワード | 総合型地域スポーツクラブ / 組織文化 / シンボル / 永続性 |
研究概要 |
本研究は,組織文化の視点に着目し,総合型クラブの永続性において,組織文化の形成および発展がいかなる影響を及ぼすのかについて実証的に明らかにすることを目的としている.平成24年度は,前年度のフィールドワークおよび先行研究を参考に質問紙を作成した.質問紙調査は,神戸市内の総合型クラブ165クラブを対象に実施した.回収数は95票であった.分析方法は,単純集計,クロス集計を用いた.自由記述に関してはKJ法を用いた.主な結果は以下のとおりである. 「組織文化」について,クラブハウスを有しているのは,90.0%(n=81),クラブハウスに看板を掲げている割合は,55.6%(n=50),ロゴマークのあるクラブは,38.9%(n=35),クラブ旗のあるクラブは,93.3%(n=84),ユニフォームを作っているクラブは,13.3%(n=12),会報を発行しているクラブは,68.9%(n=62),理念(スローガン)のあるクラブは,20.5%(n=18),クラブ独自の行事を開催している割合は,31.5%(n=28)であった.「クラブマネジメント」について,78.2%(n=68)のクラブにキーパーソンがおり,キーパーソンはクラブ会長45.6%(n=31)が最も多い.クラブ会費を徴収しているクラブは,72.4%(n=55)であり,その用途はクラブ運営費33%,消耗品費15.9%,備品費12.5%などであった.クラブの設立年と組織文化に関してクロス集計を行った結果,設立年と組織文化の形成については有意な差はみられなかった.「クラブ設立による効果」については「交流が深まった」「親睦をはかることができた」などの効果がみられ,「クラブ・マネジメント」については「自立できている」「自主運営できている」などの肯定的な意見があった一方で,「部員が減少」「指導者不足」「後継者不足」といった課題も散見された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度のフィールドワーク,平成24年度の質問紙調査と,総合型地域スポーツクラブにおける組織文化の形成と永続性について,設立年が関わっていることが明らかになった.設立から約40年,約15年が経過したクラブを対象としたフィールドワークでは,年数の経過とともに組織文化が強固になっていることが示唆された.一方,設立から約10年を経ていない神戸市内の総合型クラブを対象とした質問紙調査では,設立年と組織文化の形成とあいだに有意な差はみられなかった. 以上の結果は,平成25年度実施予定の調査に反映させることができる.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,平成23年度のフィールドワークおよび平成24年度の質問紙調査の結果を参考に質問紙調査を予定している.調査対象は,兵庫県内の総合型地域スポーツクラブ,全国の総合型地域スポーツクラブを予定している.総合型地域スポーツクラブの選定については,各地方自治体の広域スポーツセンターが把握しているクラブを参考にする.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究費の使用については,質問紙調査およびフィールドワーク,旅費(学会発表,フィールドワーク),謝金(専門的知識の提供),報告書の作成を計画している.
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