本研究は,地域スポーツクラブの永続性において,組織文化の形成および発展がいかなる影響を及ぼすのかについて実証的に明らかにすることを目的としている.平成25年度は,平成23,24年度のフィールドワーク,質問紙調査を基に,全国の地域スポーツクラブ300クラブを対象に質問紙調査を実施した.回収数は132票であった.分析方法は,単純集計,KJ法を用いた.主な結果は以下のとおりである.「組織文化」について,クラブハウスを有しているのは45.5%(n=72),クラブハウスに看板を掲げているのは79.5%(n=105),ロゴマークのあるクラブは38.9%(n=35),クラブ旗のあるクラブは53.8%(n=71),ユニフォームを作っているクラブは54.5%(n=72),理念(スローガン)のあるクラブは72.0%(n=95),クラブ独自の行事を開催している割合は47.0%(n=62),クラブに関する逸話や物語のあるクラブは11.4%(n=15)であった.次に「クラブ・マネジメント」について,キーパーソンがいるクラブは88.6%(n=117)であり,その立場はクラブ会長41.0%(n=48)が最も多かった.恒例行事のあるクラブは96.2%(n=127)であり,その内容は総会92.1%,ウォーキング大会32.3%,交流戦28.3%であった.クラブ会費を徴収している割合は98.0%(n=121)で,その用途は運営費87.8%,事業費77.4%,スポーツ保険16.5%などであった.以上,3年間のフィールドワーク,質問紙調査の結果から,永続しているクラブには「クラブの顔」となるシンボリックマネジャーが存在していることが明らかになった.今後の地域スポーツクラブの永続性を考える場合,「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源の配分や配置に加え,「組織文化」の形成・発展といった視点からの分析が求められる.
|