本研究の目的は、スポーツチームが試合に向けて心理的な準備状態を整える効果的な手法を開発・整理し、メンタルトレーニングにつなげることであった。 平成26年度は4年計画の最終年度であり、本年度の研究成果として、雑誌論文2本、学会発表3回、書籍1冊を発表した。本年度の主な研究成果は、スポーツ指導者と対象とした調査からチームに必要な心理的要因を分析したことである。その要因として、目標の共有、意思の統一、団結力、協調性、信頼、尊敬、規律、忠誠心、思いやりの9要因を挙げた。さらにそれらを「目標の共有」「意思の統一」「団結力・協調性・忠誠心」「規律」「信頼・尊敬・思いやり」に分類し、メンタルトレーニングに発展させるための要点について考察を行った。またウェブサイトにおいてラグビーのためのメンタルトレーニング講座の開始・更新を行った。 研究期間全体の研究成果をまとめると、情動プロファイリングテストの開発、情動の先行要因をコントロールする手法による心理的コンディショニングの有効性の確認、チームにおける情動状態モニタリングの活用実践、チームをまとめるための心理的要因の整理、研究成果の公表である。特に、チームにおける情動状態モニタリングの活用実践では、バスケットボールチームを対象としてチームの最適な情動状態を見つけ出し、その情動の先行要因について話し合いながらコントロールすることで、チームパフォーマンスの向上・安定させる可能性があることがわかった。チームにとってより良い情動状態を追求することが、チームパフォーマンスに関係する情動の発見や自己の行動・態度を見直す機会にもなり、コミュニケーションの促進につながると考えられた。また、学会でのシンポジウムや研修会を開催するなど、情動プロファイリングの考え方を関係者に広く公表することができた。
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