研究課題/領域番号 |
23500750
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
吉田 毅 東北工業大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (70210698)
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キーワード | 後天的身体障害者 / 車椅子バスケットボール / 女子競技者 / 他者 / 性別比較 / スポーツへの社会化 |
研究概要 |
本年度の計画では西日本と東日本に在住する車椅子バスケットボール(以下「車バス」)女子競技者4名ずつを対象に調査を行うこととしていたが、交付額が前年度より少なかったこともあり東日本では3名に留めるに至った。調査対象者は西日本では1名が京都府の「カクテル」、3名が愛知県の「Cats」、東日本では1名が神奈川県の「WING」、2名が東京都の「エルフィン」のメンバーであった。本研究の主な特色として、スポーツへの社会化を準備局面(スポーツに参加できる状態になるまで)と主要局面(スポーツに継続的に参加するに至るまで)とに分けて捉える点が挙げられる。対象者の語りを基に各局面に寄与した他者について前年度の男子の知見との比較を交え検討した結果、主に次のような知見が得られた。 まず、準備局面に寄与した他者は、ほとんどが母親であった。「頼りになる」「当たれる」など「心の支え」になったという。他に「母は厳しいだけ」という1名の場合は「優しく」て「こんな母がいたらよかった」と思えるような看護師が、母親が病弱であった1名の場合は「父が支え」となった。ある人のふとした優しさが大きかったという者もいたが、いずれにせよ心身ともに回復へ向かうプロセスでは、いわば家族のごとく親身になってくれる他者の存在が欠かせないとみられ、そうした他者は男子の知見と同様に「気を許せる他者」と呼び得るだろう。次に主要局面に寄与した他者についてであるが、車バスを始めた契機は、男子の場合は1名以外は他者の誘いであったのに対し、女子の半数ほどは自らが取り組む活動を求める中で車バスに出会った。ユニークなのは、他の1名が、車バスはリハビリ施設の「コミュニティ」であったという点である。車バスに励むに至るプロセスでは、男子と同様に大なり小なり影響を受けた他者が認められたが、男子と明らかに異なるのはそうした他者が彼氏等の異性であった点である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の実施状況はおおむね順調とみられるが、研究成果の発表・報告が遅れており今後速やかに行っていく予定である。24年度は調査対象者を計画より1名少なくせざるを得なかったが、調査データからみて本研究の目的を達成するにあたり特に支障はないと考えられる。分析もおおむね順調とみられる。今後更に分析を深めていくとともに論文作成に当たる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究を実施するにあたり、現状では特に問題となる要素は見当たらないことから、ほぼ当初の研究計画書の通りに研究を進めていく。ただし、25年度は交付額が前年度までより少なくなるため、調査対象者は23年度の交付申請書に記した通り当初の計画よりも若干減らすことになろう。とはいえ、24年度と同様に本研究の目的を達成するために大きな支障はないものとみられる。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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