研究課題/領域番号 |
23500761
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研究機関 | びわこ成蹊スポーツ大学 |
研究代表者 |
若吉 浩二 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ科学部, 教授 (30191729)
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キーワード | 水泳 / 浮力 / 浮心重心間距離 / 有浮力水着 |
研究概要 |
平成24年度は,下記の3つの研究目的で行った. 1.有浮力水着が浮力・浮心重心間距離および水泳パフォーマンスに及ぼす影響:本研究では,競技者群を対象に,有浮力水着の着用が,肺気量の変化に伴う浮心重心間距離に及ぼす影響と水泳パフォーマンスに及ぼす影響について調査した.水泳パフォーマンスにおいては,血中乳酸カーブテストにより,行った.その結果,有浮力水着着用により,浮力の増加,浮心重心間距離の短縮が見られた.血中乳酸カーブテストにおいても,着用によるパフォーマンスの向上がみられた.また,児童に対し,有浮力水着の着用に伴う水泳技能の向上を調査したところ,短期間ではあるが,着用して練習を行った方が,よりうまくなる可能性が示唆された. 2.腹式呼吸トレーニングによる浮心重心間距離およびパフォーマンスに及ぼす影響:本研究では,異なる3つの呼吸方法が,水中での肺換気量の変化に伴う浮心重心間距離に及ぼす影響について調査を行った.その結果,中性浮力時(浮力[N]+重力[N]=0)における浮心‐重心間距離は,平常呼吸で1.25 cm,胸式呼吸で1.52 cm,腹式呼吸で1.40 cmであった.このことから,胸式呼吸に比べ,腹式呼吸時には浮心重心間距離が短縮する可能性が示唆された. 3.肢体不自由者の浮力・浮心重心間距離の測定と有浮力水着着用の有効性:本研究では,二分脊椎症患者を対象を対象として,有浮力水着の活用の有効性について検討を行った.二分脊椎症患者の浮心重心位置は本来の位置と逆転していたため,有浮力水着を上下着用すると下肢の浮力が増し,安全な呼吸の確保が困難となる.しかし,呼吸による身体の浮き沈みが軽減し,一定の位置で泳ぐことが可能となった.また,有浮力水着を着用したことで腰が水面近くになり,抵抗が減り泳ぐ距離が増加した.また,背泳ぎを泳ぐことが可能になるなど運動の幅が広がった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究実施にあたり,作成した測定装置・システムにおいて2点の問題が明らかになった.一つは,陸上で測定される水平姿勢時での重心位置の計測である.呼吸の変化,特に胸式呼吸時と腹式呼吸時では,重心位置が変化することが判明した.これまでの重心位置の測定は,ある時間(30秒間)の平均値を採用していたが,今後は,本測定において考慮する必要があると考える. 二点目は,水中での浮力・浮心重心間距離の測定方法において,換気量の変化が,正確に計測できていない可能性がある.また,換気量を計測するセンサーにおいても,誤差の生じる可能性があり,今後,検討していかなければならない.
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今後の研究の推進方策 |
今後は,測定装置の完成度を高めるとともに,平成24年度に行われた研究の追加実験を推し進めていきたい. 研究費の使用計画として,陸上で行う重心位置の測定のための実験装置の改良と,浮力・浮心重心間距離計測時の,換気量計測の機器の改良に物品費を使う予定である. 次に,研究協力者への謝金と,学会発表に伴う旅費に支出する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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