研究課題/領域番号 |
23500762
|
研究機関 | びわこ成蹊スポーツ大学 |
研究代表者 |
佐藤 馨 びわこ成蹊スポーツ大学, スポーツ科学部, 准教授 (50326592)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 社会心理 / 余暇志向 / スポーツ / ジェンダー |
研究概要 |
平成23年度は主に調査票作成のために文献研究を中心に行なった。調査票作成に時間を費やした理由として、本研究は、女性を余暇に対する志向別に分類し、「Constraint Negotiation概念」(Julie,2008:Daniel,2007)を用いて余暇実現のための社会的調整力や交渉力の程度をグループごとに評価し、それとスポーツ活動との関連を検討することを目的とし、これまでにない視点からのアプローチを試みようとしている。すなわち、先行研究において具体的な調査項目の提示は殆ど見られず、それらを吟味し、妥当な質問項目を起す必要があった。本調査票により、これまで女性のスポーツ活動において阻害要因として挙げられてきた家事・育児による時間の制約という結論から脱却でき、さらに今後の女性のスポーツ活動の実施率を押し上げるための政策提案にも繋がると考える。調査項目については、次の通りである。「女性の余暇活動に関する調査」として、(1)個人の余暇に対する意識や考え方(余暇志向性)、(2)日常におけるスポーツ活動の実施状況、(3)家族を含めた周囲の人々に対する説明・説得能力、すなわち個人のスポーツ活動実現に向けた交渉力の評価、(4)スポーツ活動に必要な余暇時間を捻出する能力、すなわち個人を取り巻く社会状況に対応する社会的調整力の評価、(5)フェイスシート(性別、年齢、結婚の有無、家族構成、末子の年齢、スポーツ活動費、余暇活動費)、以上を軸に調査票を作成した。また、滋賀県体育協会を介して県内での調査実施を目指し、関係者に対して調査内容や調査実施によるメリット等について説明を行なった。交渉を開始した時期が年度末でもあったため了承にまで至らず、平成24年現在も引き続き交渉を行なっている。滋賀県での大規模調査により、幅広い女性の余暇志向とスポーツ活動との関連を示すデータ入手が可能となる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)調査票の作成については、平成23年度に作成を終えた。調査票の内容については、先行研究と研究代表者のこれまでの研究結果を踏まえた上で、「余暇活動に関する調査」として、(1)個人の余暇に対する意識や考え方(余暇志向性)、(2)日常におけるスポーツ活動の実施状況、(3)家族を含めた周囲の人々に対する説明・説得能力、すなわち個人のスポーツ活動実現に向けた交渉力の評価、(4)スポーツ活動に必要な余暇時間を捻出する能力、すなわち個人を取り巻く社会状況に対応する社会的調整力の評価、(5)フェイスシート(性別、年齢、結婚の有無、家族構成、末子の年齢、スポーツ活動費、余暇活動費)、以上の内容を盛り込んだ。(2)調査地の探索については、平成23年度から引き続き交渉を続けている。調査規模が3,000名と大規模であること、また送付先の住所録一覧の入手が必須であることから自治体単位で現在も交渉を行なっている。調査地候補を滋賀県としているが、その理由として、(1)滋賀県体育協会とびわこ成蹊スポーツ大学との間で既にスポーツに関する様々な調査や事業を連携して行なっており、協力関係が既にあること、(2)研究代表者と滋賀県体育協会との共同で2008年度に「スポーツ団体における女性スポーツの普及に関する調査」を、2009年度にその調査結果を同協会で報告した実績があること、(3)滋賀県体育協会では地域総合型スポーツクラブの普及に際し、一般女性のスポーツ活動促進の施策を模索していたことがあげられる。しかしながら、滋賀県との交渉が困難である場合は、滋賀県大津市を第2の調査地として考えており、研究代表者は、調査地の決定に向けて、調査協力依頼、調査の趣旨説明を行うことを引き続き行なう。
|
今後の研究の推進方策 |
<平成24年度>(1)調査票の配布および回収:(1)調査対象者:20歳以上の成人3,000人程度を選挙人名簿より無作為に抽出、(2)調査方法:郵送法によって調査票の配布および回収を行なう、(3)調査期間:配布から回収期限までを約1ヵ月とする、(4)調査時期:日常的なスポーツ活動を調査するため、長期休暇を除いた10月を目途に調査を実施。3,000人分の調査票の配布に際し、研究代表者を中心に調査票、返信用封筒等の袋つめ作業等を行なう。その作業には、10人の補助員を使って作業を完了させる。(2)調査データの入力:調査票回収後、研究代表者の管理のもとデータ入力作業補助によってデータ入力を実施する。入力に際しては、情報漏えいに細心の注意を払うため、(1)データ入力は決められた場所で作業を行なう、(2)データは決まった記録装置(フラッシュメモリ)のみに保存する。データ管理は研究代表者が行なう。調査実施において被調査者抽出の際に入手した個人情報(住所、氏名、年齢等)は、調査票回収後、直ちにシュレッダーによって廃棄処分する。また、データはすべて数字で入力し、個人が特定できない配慮をする。データ入力後の調査票は、速やかにシュレッダー処理を行なう。調査データの入力には、研究代表者の他に5人のデータ入力補助を使って作業を行なう。(3)調査データの分析および検討:収集したデータの分析(統計的処理等)は、基本的に研究代表者が一人で行なう。(4)研究結果の公表:研究結果を公表するため、国内外の学会、日本体育学会あるいはレジャー・レクリエーション学会等において研究発表を行ない、研究情報の提供および情報の交換を図る。学会発表後、それを論文としてまとめ、学会誌あるいは紀要に公表する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
<平成25年度>調査地に対して調査結果の報告を行なうため、また研究結果を公表するため、旅費が必要となる。また研究結果を成果報告書として冊子にする費用、またその翻訳に要する経費も必要となる。具体的には、以下に従って次年度の研究費を使用する。(1)研究結果の公表:研究結果を公表するため、国内外の学会、例えば国際スポーツ社会学会や日本体育学会等において研究発表を行ない、研究情報の提供および情報の交換を図る。学会発表後にそれを論文としてまとめ、学会誌あるいは紀要に投稿する。(2)調査地への報告書の作成および提出:研究代表者は、調査地に対して本研究で得られた情報を報告書にまとめ、提出する。報告書提出に際し、本研究の分析結果に加え、調査地のスポーツ振興に寄与する形式にデータを再加工し、施策提案に利用できるよう努める。
|