本研究は、余暇に対する意識・考え方(志向)で女性を分類し、「Constraint Negotiation」概念を用いて余暇志向別に余暇実現のために社会的調整力や交渉力を評価し、それとスポーツ活動との関連を検討することを目的としている。 平成25年度は、平成24年度におこなった調査データの分析を行なった。結果として、レジャー志向尺度から、「長期展望・向上因子」「外出・対人関係志向因子」「身体活動因子」「利他主義因子」「主導性因子」を抽出した。因子得点を性別で見ると、身体活動因子および主導性因子の得点は女性が有意に低く、外出・対人関係因子得点は女性が有意に高かった。一方、スポーツを志向する身体活動因子得点は女性の得点は有意に低く、女性のスポーツ活動を促進することを考えるならば、友人と連れだって行なうスポーツの提案が有効だと考えられる。因子得点を職業別に見ると、身体活動因子得点がパートタイム・アルバイトにおいて有意に低いことが分かった。パート・アルバイトについては、時間の確保が難しいことが考えられ、短時間に効率よく実施できるスポーツの提案が有効であろう。 次に、余暇においてスポーツを実施するためには、家族や友人を含め周囲との調整や交渉等は必須である。そうした社会における調整力や交渉力を検討するため「調整力因子」「自助努力因子」「説明・交渉力因子」「責任感因子」を抽出した。因子得点を性別で比較した結果、調整力因子および自助努力因子において女性の得点が有意に低かった。このことから、女性の余暇生活を充実させるため、さらにはスポーツを実施するためには、男性以上にそれを実現するための自助努力や費用や時間等を捻出するための家族や社会との調整が必要であると言える。また、本研究では明らかにできなかったが、上述のような女性の自助努力や調整力を引き出すための社会的エンパワメントも併せて必要であろう。
|