研究課題/領域番号 |
23500764
|
研究機関 | 大阪体育大学 |
研究代表者 |
冨山 浩三 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (10264988)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
キーワード | 地域密着 / レピュテーション / ホームタウン活動 / チームロイヤルティ |
研究概要 |
平成23年度の調査スケジュールは、レピュテーション、地域密着に関する関連論文の収集、関係者への聞き取り調査の実施、住民調査の実施を行う事であった。まず、研究テーマに関する関連の文献の収集を行うことができた。また、聞き取り調査については、四国アイランドリーグに所属する野球チーム「高知ファイティングドッグス」及び、「香川オリーブガイナーズ」の球団関係者および地域住民を対象とした聞き取り調査を実施した。高知ファイティングドッグスの聞き取り調査結果からは、チームが実施するホームタウン活動が農業を含む野球以外の活動に広がっており、チームが存在する地域の実情に合わせた活動を展開している様子が明らかになった。このような活動が地域住民のチームロイヤルティを深める要因となっていることが考えられる。また、香川オリーブガイナーズを対象とした調査では、球場が市街地から少し離れていることによるアクセスを問題視する様子が明らかになった。これは、チームロイヤルティに観戦環境が影響を与えることを示唆する結果と言える。また、野球、バスケットの2種目で4チームのプロスポーツチーム(高知ファイティングドッグス、香川オリーブガイナーズ、兵庫ストークス、大阪エヴェッサ)の観戦者を対象とした質問紙調査、及び大学の地域住民を対象とした質問紙調査によって、チームや大学へのレピュテーション調査を実施した。レピュテーション測定項目は、Fombrun(1999)の作成した20項目で構成されるレピュテーション尺度を日本語に翻訳し、それぞれのチームや組織を対象に作成した。対象ごとに分析モデルを用いて確認的因子分析を行った結果、一定のモデル適合度が認められ、これらの尺度がスポーツマネジメント領域におけるチームレピュテーション、大学レピュテーションの測定に有効であることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文献の収集については、当初の予定取り多くの参考図書や論文を収集できた。また、実施した聞き取り調査によって、チームのホームタウン活動の実態を明らかにすることができ、それと住民のチームロイヤルティについての関係を考える資料を得ることができた。レピュテーション測定尺度の構築や地域への愛着に関する測定尺度の作成に向けて作業が残されている部分もあるものの、おおむね予定通りに進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成24年度においては、関連文献の収集を継続するとともに、地域住民のスポーツチームへのロイヤルティ構築のプロセスを明らかにするための聞き取り調査を継続する。具体的には、まずローカルアイデンティティ測定尺度の構築を目指して、先行研究を精査して調査項目を設定する。住民の地域に対する愛着については、ローカルアイデンティティ、コミュニティアタッチメント、センス・オブ・ホームなどといったキーワードで分析が行われている。中でも、Sigmon et. al.(2002)による「サイコロジカル・ホーム」尺度や、Christopher(1996)によるセンス・オブ・コミュニティ尺度などは有効な手がかりとなる。これらの手がかりとなる測定項目を元に、スポーツファンの地域愛着測定尺度を開発し、予備調査を実施することで精度を高め、尺度を完成させる。調査対象者は、予備調査の第1段階として、本学の学生を対象とした質問紙調査、第2段階として四国アイランドリーグやJBL、Jリーグに所属するチームを対象とした質問紙調査を実施する。次に、地域への愛着とチームへの愛着がどのように関わっているのかについて、聞き取り調査の結果、及び先行研究の検討によって仮説モデルを作成する。地域への愛着と、チームのレピュテーションとチームへの愛着との関係を表す共分散モデルを作成する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度においては、分析モデルの詳細な検討を行うためのパソコンソフトの購入を予定している。また、聞き取り調査、及び予備調査のための交通費、調査の実施や調査によって得られたデータの入力、分析補助のための人件費が必要となる。観戦者調査の実施にあたっては、調査用紙作成の紙代をはじめとする文具の購入を予定している。さらに、平成23年度・平成24年度の研究結果の発表及び情報収集のための学会参加に係る交通費の支出を予定している。 昨年度は、取得したデータの整理にとどまり、詳細な分析には入らなかったことから、予定していたパソコンソフトの購入が翌年にずれ込んだこと、成果発表の学会参加が予定した回数よりも少なかったために繰越金が生じているが、これについては平成24年度に執行を行う。
|