本年度は,(1)短期間のトレーニング後のトレーニング中止の影響を検討し,効果の維持と消失について明らかにする,(2)5ヶ月間の長期トレーニングの影響を検討する,2つの課題を遂行した. 課題(1)では,京都市内の地域に在住する高齢者17名(73.0±5.8歳)を対象に,連続ジャンプ運動を用いた月2回の運動教室と自宅実践を併用したトレーニグを10週間行わせ,終了から4ヶ月経過した時点で効果の維持あるいは消失を検討した.評価項目は,開眼片足立ち,速歩,障害物歩行,垂直跳び,片脚ステップ(左右・前後),全身反応時間,階段昇降であった.トレーニグ終了4ヶ月後に階段昇降は有意に低下した.開眼片足立ち,速歩,障害物歩行,片脚ステップ(左右)に変化はみられず,垂直跳び,片脚ステップ(前後),全身反応時間は有意に増加した. 課題(2)では,同様の連続ジャンプ運動を用いた長期間(5ヶ月)のトレーニングの影響を検討した.対象者は地域に在住する一般中高年齢者で,ジャンプ運動を行うグループ25名(JT群:63.9±6.3歳)と軽運動(ノルディックウォーキング)を行う対照グループ30名(NW群:66.2±6.9歳)であった.JT群のトレーニングは,平成24年度の課題(2)と同様の連続ジャンプ運動で運動教室と自宅を併用した内容とした.NW群は月2回,30~40分間にわたり屋外でのノルディックウォーキングを行わせた.5ヶ月間のトレーニングの結果,バランス能力(手のばし)とリバウンドジャンプ(筋パワー)に有意な交互作用が認められた.また,ステッピングには有意な主効果が認められた. 以上のことから,本課題の連続ジャンプ運動を用いた高齢者のトレーニングでは,トレーニグを中止すると脚伸展能力の低下が示され,また,トレーニングを長期間行わせると,バランス能力や筋パワーを改善させる内容である可能性が示唆された.
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