研究課題/領域番号 |
23500766
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
田島 誠 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 准教授 (70330644)
|
キーワード | 漸減要約フィードバック / 知覚-運動スキル / 保持期間 |
研究概要 |
本年度の研究では、知覚-運動スキル学習に対する漸減要約フィードバックの長期間の保持効果と若年者と高齢者の学習過程について明らかにするために、第一段階として、若年者の知覚-運動スキル学習に対する1週間の保持期間を設定した。 若年者を即時フィードバック群と漸減要約フィードバック群にランダムに群分けし、彼らに7メートルのブラインド・パッティング課題を遂行させた。ただし、即時フィードバック群では、1試行毎にボールの止まった位置を結果の知識(KR)として学習者にフィードバックした。漸減要約フィードバック群では、学習初期段階では1試行毎にボールの止まった位置(KR)を学習者にフィードバックしたが、学習段階が進むにつれてKRの提示頻度を徐々に減少させつつ、提示するKR量を減少させないために要約してフィードバックした。 これまでの漸減要約フィードバックの学習効果を検討した研究では、10分後と1日後の保持テストを設定していたが、本実験ではそれらに加えて1週間後の保持テストを設定し、長期間の学習効果を検討した。 その結果については現在分析中であるが、フィードバック条件間の比較と保持テスト間の比較を行うことによって、漸減要約フィードバックの長期間の学習効果を見出すことが可能である。そして、これらの知見を高齢者に適用することによって、漸減要約フィードバックの学習効果に対する加齢の影響を明らかにしていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の進行状況では比較的順調に進んだが、前年度の遅れを取り戻すまでには至らなかった。また、本研究は学習実験であるため、被験者の確保と被験者の都合に合わせた実験スケジュールの組立てが難航し、予定した実験計画を実施することはできたが、測定したデータの分析までは終了できなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
第一に、測定したデータの分析を最優先に実施し、その分析から得られた結果と知見から、新たな学習条件を設定していく。 第二に、これまでは運動-スキル学習のパフォーマンスから学習過程と学習効果を分析してきたが、今後は学習者の生体反応についても着目し、学習過程にともなう生体反応の変化から学習効果を検討していく。そのために、研究の遅れから発生した前年度からの繰越金と今年度の直接経費を用いて、生体反応を測定する実験装置を購入し、生体反応とエイジング、学習効果、漸減要約フィードバックの関係を見出していく。例えば、同じパフォーマンスであっても、生体反応(心拍数や脳活動から推測したエネルギー効率など)の差異から学習効果の違いを見極めていくことを予定している。
|
次年度の研究費の使用計画 |
研究の遅れから発生した前年度からの繰越金と今年度の直接経費を用いて、生体反応を測定するための脳波測定装置や心拍計、指先脈波・発汗量の測定器を購入する予定である。 また、実験遂行およびデータ分析に対する人件費として、実験補助者に対して適正な謝金(\1,000/時間)を支払う。 研究成果の発表として、国内外の3~4つの学会で研究発表を行う予定のため、旅費として使用する予定である。
|