研究課題/領域番号 |
23500773
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
町田 正直 佐賀大学, 全学教育機構, 講師 (90579921)
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研究分担者 |
武政 徹 筑波大学, 体育系, 教授 (50236501)
清澤 秀孔 高知大学, 医学部, 准教授 (30295422)
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キーワード | 骨格筋 / 筋萎縮 / 筋肥大 / リボソームRNA |
研究概要 |
本研究は、骨格筋の萎縮メカニズムにおけるリボソームRNA(rRNA)の合成量の低下の影響および運動による骨格筋萎縮抑制メカニズムにおけるrRNA合成量の関与を明らかとする事を目的として実施された。そして、研究期間全体を通して、骨格筋の萎縮時においてrRNAの合成量が減少する事が代表的な骨格筋萎縮モデルである除神経および後肢懸垂にて確認された。さらに、後肢懸垂を解除した後の急速な筋量の回復時には、RNAが通常よりも過剰に合成される事が明らかとなった。これらの研究から、rRNAの減少は筋萎縮時には共通して発生する減少である事、さらにrRNAの合成量の増加は運動による骨格筋の肥大を促進する可能性がある事を明らかとした。 骨格筋内のrRNAの合成量を制御する分子メカニズムについては、骨格筋の萎縮の原因によりrRNAの合成量を低下させるメカニズムが異なる事が明らかとなった。後肢懸垂による骨格筋の萎縮時には、様々な細胞でrRNAの合成量を制御すると考えられているmTOR経路やERK経路が同時に不活性化していた事から、これらの経路の不活性化がrRNAの合成量の低下を引き起こしたと考えられる。一方で、除神経による骨格筋の萎縮時には、mTOR経路やERk経路が活性化していた事から、これらの経路以外がrRNAの合成量の低下を引き起こした原因であったと考えられる。そのような中で、除神経時にはrRNAの転写関連因子のTAFIaが減少している事を明らかとした。さらに、骨格筋の萎縮からの回復時にはRNAの急速な増加が起こるが、それに伴いERK経路が活性化する事が明らかとなった。この事から、骨格筋の萎縮からの回復時におけるrRNAの増加には、ERk経路が重要な働きをする事が考えられる。
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