研究課題
運動選手の集団は、一般集団と比較して、気管支喘息の罹患率が高いことが知られている。運動に伴う気管支収縮反応や気道炎症に及ぼす影響は、依然不明な点が多く、運動誘発性喘息(Exercise Induced Asthma; EIA、あるいは呼吸機能の変化からExercise Induced Bronchoconstriction; EIB)のメカニズムの解明は、今後の効率の良い診断、さらには治療に大きく寄与すると考えられる。今回の検討では、実験動物としてBalb/c系マウスを使用した。運動負荷に関しては、マウスの強制運動測定器としてメルクエスト社(富山、日本)のTMS4(マウス用トレッドミル)を使用した。週5日のプログラムで運動するプロトコールを作成したが、細かい運動時間、運動量は既報(Am J Respir Crit Care Med 2007:175;442)を参考にした。メサコリンに対する気道過敏性の亢進が見られており、運動期間に相関を認めた。気管支肺胞洗浄液中の炎症細胞の増加は軽度で、好中球や好酸球の上昇は無かった。気道上皮の形態的変化はないものの、気道平滑筋の増生、粘膜下コラーゲン沈着も運動期間に相関しており、強度の運動に伴う気道のリモデリングが認められている。現在、肺検体を使って遺伝子発現を網羅的に検索しており、有力な蛋白が確認できればさらなる解析を行う予定である。
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