研究課題/領域番号 |
23500777
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石田 浩司 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 教授 (50193321)
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研究分担者 |
片山 敬章 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (40343214)
小池 晃彦 名古屋大学, 総合保健体育科学センター, 准教授 (90262906)
堀田 典生 中部大学, 生命健康科学部, 講師 (60548577)
岩本 えりか 札幌医科大学, 保健医療学部, 助教 (40632782)
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キーワード | 運動時換気亢進 / 学習効果 / 低酸素 / 呼吸循環応答 |
研究概要 |
25年度は,低酸素を吸入させることで,運動時の呼吸を人為的に増大させた状態で短期間トレーニングすることにより,呼吸の「学習」が起こるか否かを明らかにしようとした. 大学生の男女16名に対し,21%の常酸素を吸入させながら最高酸素摂取量(VO2peak)の50%の負荷で5分間の自転車漕ぎ運動を5回繰り返し,呼吸循環応答を測定した(Pre測定).4週間以上経過後,常酸素を吸入させるNorm群には酸素濃度21%の常酸素ガスを,また,Hypo群には13%の低酸素ガスを吸入させながら,50%VO2peakで5分間の自転車漕ぎ運動を6回繰り返すトレーニングを,3日間連続で実施した.4日目にPre測定と同様に常酸素での運動および測定を実施した(Post測定).なお,被検者には吸入ガス組成についての情報を与えなかった. Preに比べトレーニング期間中は,Norm群では,毎分換気量の安静値からの変化分(△VE)が,Phase II(運動開始30秒~2分30秒)および定常状態のPhase III (3分50秒~4分50秒)で約10%有意に低下した.一方,Hypo群ではトレーニング中はPreに比べPhase II, Phase IIIで△VEが20~30%有意に増加した.メインの結果であるPreとPostの比較では,Phase IIはNorm群で6%減少,Hypo群で6%増加し,Phase IIIではNorm群が8%低下に対しHypo群は1%増加と,両群で反対の変化を示すが,各群ともPre-Postで有意な変化ではなかった.しかし,Phase II, IIIの△VEについて両群のPre-Postで交互作用が認められた.このように被検者に気付かれずに運動時の換気を通常より増大させて短期間トレーニングすると,通常の条件に戻しても,換気を上げようとする「学習」が起こっていることが確認され,運動時の換気亢進に「学習効果」が関与することが明らかとなった.学習効果に関する詳細な研究は少なく,本研究の結果は非常に有意義であるといえる.
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