研究課題/領域番号 |
23500778
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
佐久間 邦弘 豊橋技術科学大学, 総合教育院, 准教授 (60291176)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 加齢 / サルコペニア / オートファジー / 筋萎縮 |
研究概要 |
オートファジー経路の活性化が、加齢性筋肉減弱症を導く可能性について検証した。実験動物には若齢(3ヶ月齢)と高齢(24ヶ月齢)のC57Black雄マウスを用い、加齢にともなうオートファジー関連物質(LC3, Beclin-1, p62/SQSTM1)の変化を調べた。リアルタイムPCR法によるmRNAの定量解析では、各物質とも加齢にともなう有意な変化がみられなかった。一方、細胞分画サンプルによるWestern blotにより、加齢にともないp62/SQSTM1蛋白量が細胞質(cytosol)で著しく亢進した。一方、核(nucleus)および細胞膜(membrane)でのp62/SQSTM1蛋白量は加齢にともなう有意な変化がみられなかった。同様の傾向がBeclin-1についても観察された。一方LC3蛋白量には、加齢にともなう有意な変化は認められなかった。 筋凍結横断切片 (8 μm)を用いた蛍光免疫組織染色からも、加齢筋における細胞質でのp62/SQSTM1免疫活性の亢進が認められた。このp62/SQSTM1陽性細胞は加齢筋で10%以上も存在し、若齢筋より有意に高値を示した。またBeclin-1の免疫活性部位は、p62/SQSTM1のそれとほぼ同じ場所(細胞質)であった。以上のことから加齢にともなう筋萎縮にオートファジー経路の活性化が関与している可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の目標であった加齢筋におけるオートファジー関連物質(Beclin-1, p62/SQSTM1)の亢進が確認できた。リアルタイムPCR解析(mRNAの定量)においては有意な傾向は認められなかったものの、細胞分画サンプルを用いた蛋白質の生化学的解析と、筋凍結横断切片を用いた蛍光免疫組織染色の両方で顕著な変化を確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
初年度の目標であった加齢筋におけるオートファジー関連物質(Beclin-1, p62/SQSTM1)の亢進が確認できた (細胞分画サンプルを用いた生化学的解析と蛍光免疫組織染色)。今年度は、筋萎縮の主要経路と考えられているAtrogin-1-FOXO経路の加齢にともなう変化を調べる予定である。この実験が終了してから、自発性走運動が骨格筋内のオートファジー関連物質、およびその調節因子(mTOR: mammalian target of rapamycin, FOXO3: Forkhead box O)の発現量を亢進させるかどうかについて検証する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度で得られた研究成果を、ギリシャで行われる国際学会 [3rd International Conference on MEDICAL PHYSIOLOGY (PHYSIO'12): 7月]と国内で行われる2つのシンポジウム(抗加齢医学会: 横浜, 6月; 日本体力医学会: 岐阜, 9月)で発表予定である。したがって研究費の3-4割程度は、この旅費にあてる。今年度は、筋萎縮の主要経路と考えられているAtrogin-1-FOXO経路の加齢にともなう変化を調べる予定である。研究費の4割は、この検証のための一次抗体、生化学実験、蛍光免疫組織化学実験のための消耗品 (薬品、シランコートスライドガラス、各種二次抗体など)、実験動物の購入などにあてる予定である。残りの研究費は、実験を遂行するための学生アルバイト、研究成果公開促進 (原著論文、総説、本分担執筆)のための別刷り代金(Online掲載料金)に使用する予定である。
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