研究課題/領域番号 |
23500783
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
吉田 剛一郎 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (10274870)
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研究分担者 |
佐伯 武頼 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 特任教授 (10056070)
吉武 裕 鹿屋体育大学, スポーツ人文・応用社会科学系, 教授 (00136334)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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キーワード | カルニチン / 脂肪酸代謝 / JVSマウス / 中枢神経系 |
研究概要 |
カルニチンが脂肪酸代謝によるエネルギー産生において果たす役割について、全身の代謝および中枢神経系の両側面より検討することを目的とする。先天的にカルニチンを欠損するモデル動物juvenile visceral steatosis(JVS)マウスを用いることにより、カルニチンのはたらきをより明確に示す。絶食により自発行動量の低下するJVSマウスにカルニチンを投与することによって生じる持続的投与効果について、カルニチンの律速酵素であるcarnitine palmitoyltransferase(CPT)1、その上流に位置するAMP kinaseに至る一連の系の関与を明らかにする。全身の代謝について、呼気ガス分析値および尿中窒素排出量から三大栄養素別の消費エネルギー量を求めたところ、JVSマウスではカルニチン投与2日後においても対照である生理食塩水投与JVSマウスと比較して脂肪からのエネルギー産生は亢進を示した。さらに、カルニチン投与36時間後に、JVSマウスの尾静脈より14C-palmitateを投与して、呼気中に排出される14C-CO2発生量を測定したところ、生理食塩水投与JVSマウスより多量で、絶食野生型マウスのレベルに匹敵する脂肪酸代謝初速度を示した。エネルギー産生面からみると、カルニチン投与を行ったJVSマウスでは、血中や臓器におけるカルニチンレベルが低下した後も、長鎖脂肪酸酸化レベルは維持されていた。これは、カルニチン以外にも長鎖脂肪酸の利用を律速する因子が存在することを示す。それ故、脂肪酸代謝をターゲットとして、カルニチンの律速酵素であるCPT1のレベル、その調節に関与するAMP kinaseなど、脂肪酸代謝の調節に関わる因子について解析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
カルニチンの全身の代謝および中枢神経系への作用を検討する一連の流れの中で、とくに全身の代謝の検討に手間取ったことが、やや遅れているとした理由である。CPT1とその上流に位置するAMP kinaseに至る一連の系の関与を明らかにするために行った5-Aminoimidazole-4-carboxamide-1-beta-D-ribofuranoside(AICAR)の投与によって引き起こされた副作用が原因により実験が進捗しなかったことに起因する。
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今後の研究の推進方策 |
JVSマウスに対するカルニチンの持続的投与効果について、全身の代謝の面から検討を行う。カルニチンの律速酵素であるCPT1のレベル、その調節に関与するAMP kinaseなど、脂肪酸代謝の調節に関わる因子について解析を進める。研究計画の大幅な変更の必要性はないと考える。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に繰り越して使用する予定の研究費はない。翌年度以降の研究費について、設備備品等の購入計画はなく、消耗品、旅費など研究計画調書の使用内訳に示す計画に基づいて使用する予定である。消耗品等の明細についても大幅な変更はない。
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