研究課題/領域番号 |
23500785
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
工藤 大介 順天堂大学, 医学部, 助教 (50348950)
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研究分担者 |
内田 雄介 名城大学, 理工学部, 助教 (00508252)
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キーワード | 動体視力 / スポーツビジョン / tDCs / BDNF |
研究概要 |
本研究テーマ3年目にあたる本年度は、10年に渡り開発、修正を加えてきた自作の動体視力測定装置の更なる改良を行うことから着手した。器械の測定系は大きな変更はないが、測定条件や測定方法などには従来から微細な変更を加え、より効率的で再現性の高いものになるよう工夫した。並行して被験者の測定を行い、データの蓄積を行った。 また、スポーツビジョン測定装置(OLYMPUS POWER 3D)を用いた測定に関しては、測定を連続して行い、データの更なる蓄積を行った。現時点ではそのデータを用いた実験、評価にまでは至っていないが、スポーツビジョン研究の目的の大きなテーマがトレーニングである以上、客観的なトレーニングとその成果に結び付く可能性のある本装置によるデータの蓄積は、今後の研究推進の上で少なからず有益であると思われるので、本年度も継続して行っている。 次に、本研究テーマの根幹部分である血中BDNFの測定と評価に関しては、他分野(耳鼻科、歯科)でBDNFを研究している研究者と積極的な意見交換を行った。現在、動体視力との関連を評価するのに最適な採取法、測定法を検討中である。最適な実験方法が確認出来次弟、被験者のデータ採取に着手する。バイオマーカーとしてのBDNFの有用性は他分野においてはさまざまな面で確認されており、スポーツビジョンにおいても同様に有用なバイオマーカーであることが確認出来れば、スポーツビジョン分野の科学的客観性確立のためには大きな進歩となり得る。その意味で本研究の意義は大きく、その成果は無限の可能性を持っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度、以前の共同研究者の異動に伴う環境変化で、測定の実施が大幅に遅れた。その影響はまだ残っており、当初の計画からの遅れは否めない。また、本研究テーマにおける主要要素であるBDNF測定に関して、他分野のBDNF研究者との意見交換や交流により、当初測定計画を立てた時点よりもかなり選択肢が増え、実験法の検討に多少時間がかかっている。
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今後の研究の推進方策 |
全体的な実験の準備は、当初計画より若干遅れてはいるものの、順調に遂行出来ている。今後は被験者の更なる追加、データの正確な解析、評価に注力したい。 バイオマーカーとしてのBDNFは、当初実験計画を立てた時点よりも、はるかに有意義なものであることが、他分野からの報告で認識されてきている。スポーツビジョン研究におけるBDNFの導入は本研究においてなされ、その結果をもとにさまざまな形で動体視力や視機能が客観的に解析されることで、スポーツビジョン研究の新しい局面が始まると思われる。 本研究は、このテーマの遂行によって終了するものではなく、スポーツビジョン研究における、一連のバイオマーカー導入研究の先行研究として位置づけられると考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究テーマの中心となる、BDNF関連の測定がまだ始まっておらず、このBDNF測定関連の器機、薬剤、試料等に振り分ける予定の予算が大きいこと、および謝金の生じる被験者数がまだ当初計画数よりも少ないことに起因する。 次年度はBDNFの測定を開始するので、BDNF関連の器機、薬剤、試料等の購入に予算を使用する予定である。また、被験者への謝金にも予算を使用する計画である。
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