人と人の関係性の原点である身体的コミュニケーションに含まれるリズムやイメージ要素を取り上げて実験および観察を行い個体属性との関連性を検討した。主な成果は次の3点である。 1. タッピングにおけるPreferrd Paceに関連する心理的要因を検討した。「被影響性」が高い者ほどPreferrd Paceは遅く、「認知的共感性」が高い者ほどPreferrd Paceは速い傾向があることが示唆された。 2.外部刺激音に対し補完的に介入する交互タッピング課題のパフォーマンスに関連する心理的要因を検討した。タップ周期(Inter Tap-onset Interval; ITI)に、Preferrd な速度条件では「被影響性」と「時間評価」、Slowな速度条件では「認知的共感性」、Very slow な速度条件では「社会志向性」が関連することが示唆された。 3. 3歳から5歳までの幼稚園児が行う他児との移動を観察し社会性の発達について検討した。年少児は、列をつくることさえ難しく、年中児になると自分たちで一列に並んで移動できるようになり、年長児では、手をつなぎ二列で移動できる。また、手つなぎは年長において多く見られた。年長児は、振り向く、真似をするなどの行動を通して、相手に合わせて移動できるようになる。幼児の移動場面には学年ごとに発達段階がみられ、先生はそれを考慮してクラス単位での移動を設定しており、このような集団での移動の経験を通して、幼児は入園後一緒に移動する他児を意識するようになり、相手に合わせて移動することができるようになると考えられる。
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