研究課題/領域番号 |
23500805
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石井 明 香川大学, 工学部, 教授 (90134866)
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研究分担者 |
清國 祐二 香川大学, 生涯学習研究センター, 教授 (60252889)
大西 美智恵 香川大学, 医学部, 教授 (30223895)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 近視 / 外遊び / 携帯ゲーム |
研究概要 |
1.測定環境の整備と評価方法の確立:携帯ゲーム操作時と外遊び中の眼球と体の動き状態の評価方法を確立するために,次の2つを行った。(1)体の動きのワイヤレスモニタリング:複数名(現在は最大4名)の子供の動きを,帽子に取り付けたモーションセンサー(9軸)と,それと同期させた外部カメラで観察するシステムを構築した。その結果,携帯ゲーム操作時の体の動きが子供によって異なること,様々な外遊びを体の動きから特徴付けることができることがわかった。(2)眼球の動きのワイヤレスモニタリング:ピンホール式の超小型カメラを帽子に取り付けたが,外遊び中は位置ずれと揺れが大き過ぎ,安定した測定が行えなかったが,眼鏡(伊達メガネも可能)に取り付けるタイプでは片眼のみとなるが測定は可能であることがわかった。2.携帯ゲーム操作と外遊びが遠見視力に及ぼす影響の調査:休日昼間における携帯ゲーム操作と外遊びの遠見視力への影響について,計7回26名の小学生(4年~6年)に対して調査を行った。その結果,携帯遊びによって遠見視力が低下した生徒は土曜日午後が,8名中3名,日曜日午前が18名中2名とわずかであることがわかり,休日昼間は遠見視力が低い状態にあり,30分程度の短時間での携帯ゲーム操作では,眼の調節緊張よりは交感神経の刺激による視力向上(回復)が優位であることがわかった。3.遊びの質とその環境が及ぼす視力への影響の調査:外遊び中の視力の変動と遊びの質との関係を調べるために,体の動きのワイヤレスモニタリングを使って,子供の遊びの質についての解析を行った。その結果,様々な遊びの動作は,地磁気,加速度,角速度の変動をレーダーチャートに表現することによって質的分類が可能であることがわかった。また,自動視力計を導入することによって,生徒が自分で視力の測定を行うことができるようになり,測定の迅速化が図れた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
下記の3つの観点より,おおむね順調に進展していると判断する。1.測定環境の整備と評価方法の確立は(3)やや遅れている:(1)体の動きのワイヤレスモニタリングについては,システムの構築ができ,実際に小学生の外遊びに対して適用しており,遊びの評価方法の確立に対してもおおむね目途がたち,おおむね順調に進展していると評価する。一方,(2)眼球の動きのワイヤレスモニタリングについては,外遊びでは,特に,かけっこをしたりするときには,センサの重みで帽子がずれたりし,両眼が視野から大きくずれたりしたため,安定的な画像が得られるところまでいかなかった点はやや遅れていると判断する。2.携帯ゲーム操作と外遊びが遠見視力に及ぼす影響の調査は(2)おおむね順調に進展している:休日の朝や午後はリラックスしているため,携帯ゲーム遊びも外遊びも視力を回復させる効果があることがわかったことは,今後の長時間の近見作業による眼の調節緊張を生じさせる環境を作る上で重要な成果が得られたものと考えており,おおむね順調に進展していると判断する。3.遊びの質とその環境が及ぼす視力への影響の調査は(2)おおむね順調に進展している:外遊びの質の評価にモーションセンサが有効であることがわかり,おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
香川県では特に小学校中学年での遠見視力の低下が著しく,携帯ゲーム遊びよりは,夜遅くまでの長時間の勉強と休日の外遊びの減少の影響が現れているものと思われる。長時間の近見作業によって生じた一時的な視力低下の回復に対して,外遊びの重要性を訴える上で,放課後から就寝までの視力の変動の調査を重点的に実施する。初年度の実施計画の一つである眼球の動きのワイヤレスモニタリングの構築は,外遊び中の良質の画像が得られなかったため,予定していたシステム構築のためのソフト開発費が大幅に残る結果となった。しかし,外遊び中の眼の動きはモーションセンサーによっておおよそ推定できることがわかり,多額の開発費を掛ける必要がないことがわかった。一方,購入予定ではなかった自動視力計を購入した理由は,小学1年生でも一人で操作ができ,また,生徒が興味を持って一人で何回も測定するため,多人数の視力測定には効果的であることが分ったからである。
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次年度の研究費の使用計画 |
眼の調節緊張には,携帯ゲーム操作よりも長時間の勉強による影響が高いことが予想されるため,眼球の動きのモニタリングシステムは,長時間にわたる勉強と眼球の動きとの関係が測定できる仕様を新たに追加し,次年度の研究費はそのための経費に使用する。
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