• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

精神障害をもつ当事者参加型研究によるワークライフバランス再構築度尺度の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23500807
研究機関首都大学東京

研究代表者

谷村 厚子  首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (70315761)

キーワード精神保健 / リカバリー / アクションリサーチ / 人間作業モデル
研究概要

本研究では、人間作業モデルを理論的背景に当事者参加型アクションリサーチの手法を用い、参加当事者のリカバリーを促進しワークライフバランスを改善するとともに、有用なワークライフバランス構築度尺度を開発し、その暫定版尺度の信頼性・妥当性・適合度の検討を行う。
当該年度は、前年度の2地域に引き続き、1地域で人間作業モデルを背景とした精神障害をもつ当事者が望む生活をするための方略を系統的・構造的に学びあえる短期版(3ヵ月・12回)集団作業療法プログラムを実施した。プログラムで事前学習を促進した後、ソフトシステム方法論を利用し、(1) ワークライフバランスの問題に関するお互いの考えや思いを知り合う (2)いくつかの根底定義(システム)にまとめる (3)これらを稼働するために必要な活動を動詞で表現するという段階でグループワークを実施した。その結果、プログラム後の参加者のリカバリーは促進され、グループワークでまとめられた根底定義は、「a. 毎日楽しく暮らすために、家の外に出る/デイケアに通うことによって、健康を維持するシステム」「b. 気持ちを豊かにする(気持ちに余裕を持つ)ために、身のまわりの物・人を整えることによって、生活をしやすくするシステム」であった。例えば、aを稼働するのに必要な活動は、「バランスの良い食事をする」「行事に参加する」「少しの人と一緒に過ごす」等、bを稼働するのに必要な活動は、「皆とお茶を飲む」「お金の貸し借りはしない」「ニュースを見る/社会情勢を把握する」等であった。
前年度と当該年度の研究成果である根底定義とその活動は、参加者の理想と現実を適合したものとなり、尺度項目の原案として有用と考えられた。また、参加者がグループワークで段階を踏み、共有し気づき納得する過程を体験し、尺度開発研究の過程に関与しているという自覚をもった点で、意義が再確認された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

集団作業療法プログラムによって事前学習が促進された参加者がグループでワークライフバランスに関する問題を共有して改善策を検討し、自身の学習の過程を促進するとともに、生産物として尺度項目の原案を得ることを目的に、アクションリサーチの方法論の1つであるソフトシステム方法論を利用してグループワークを実施した。前年度に2地域、当該年度に1地域でグループワークが実施できた。その結果、3グループで合計89件の尺度項目の原案が得られ、次年度のワークライフバランス構築度尺度(暫定版)項目の選定、および尺度(暫定版)の信頼性(内部一貫性) 、因子妥当性、適合度の検証の準備が出来た。

今後の研究の推進方策

今後は、ワークライフバランス構築度尺度(暫定版)を開発し、尺度の信頼性・妥当性・適合度を検討する。具体的には、当該年度の研究成果である尺度項目の原案を検討し、nominal group techniqueを利用して3地域でグループワークを実施し、各グループですべての質問項目案に対する意見を集約する。3地域の参加者全員の合意の程度を根拠に質問項目案を選定し、ワークライフバランス構築度尺度(暫定版)とする。次に、研究参加者および作業療法学生に対し尺度(暫定版)の調査員を募集し、その調査員が3地域の調査対象(200名程度)に尺度(暫定版)の調査を実施する。最後に、研究代表者および研究協力者が調査結果の信頼性(内部一貫性) 、因子妥当性、適合度を検証する。

次年度の研究費の使用計画

当該年度は概ね計画通りに研究を進められたが、成果発表のための国際学会出席と統計解析ソフトウェアの購入を次年度に見送ったため残額が生じた。また初年度に生じた残額は次年度に使用するため、当該年度では使用しなかった。これらの残額は、次年度の研究費とあわせて次のように使用する予定である。具体的には、物品費としてデータ分析に用いる統計解析ソフトウェアおよびラッシュ解析ソフトウェア代、文書印刷のためのプリンター代、印刷用紙代を使用する。また、研究協力者、運営担当、調査員の謝金として、研究協力者:精神障害をもつ当事者300名程度、運営担当:作業療法士1名×3地域、グループワーク2回分+調査員の調整10日分、調査員:14名×3地域×5回分を使用する。さらに、グループワーク実施と調査統括のために北海道へ2泊3日×6回赴き、研究成果発表のために国内の学術集会に2回、海外の学術集会に1-2回参加し、そのための旅費を使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 心のことば,身体のことば-当事者の社会的関係を築くコミュニケーションと交流技能-2012

    • 著者名/発表者名
      谷村厚子
    • 雑誌名

      日本保健科学会誌

      巻: 15 ページ: 13~19

  • [学会発表] 精神保健サービス利用者のParticipation Action Researchにおける作業療法のProfessionalism2012

    • 著者名/発表者名
      谷村厚子,山田孝,石井良和
    • 学会等名
      第22回日本作業行動学会
    • 発表場所
      名古屋大学(愛知県)
    • 年月日
      20120915-20120917
  • [学会発表] 精神保健サービス利用者による当事者参加型アクションリサーチ2012

    • 著者名/発表者名
      谷村厚子,中根順子
    • 学会等名
      第46回日本作業療法学会
    • 発表場所
      シーガイアコンベンションセンター(宮崎県)
    • 年月日
      20120615-20120617

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi