研究概要 |
平成24年度においては、昨年度得られた基礎的データおよび先行研究から、中心温度指標として、右の鎖骨の下、へその1cm上、右の太腿中央の3点の平均値を、また末梢温度指標として、左右手のひらの母指球、左右足裏の4点の平均値を用い、その差を放熱の指標として採用した。これら皮膚温とともに直腸温をサンプリング周波数0.1Hzで就寝時から翌朝起床時までロガー(N542R,日機装サーモ)に記録した。 対象者は、一般成人女性5名(20~33歳)で、低体温相(月経終了後~排卵日前)の期間を各自設定してもらい、毎朝起床時に基礎体温を測定して確認しながら夜間体温実験を行った。夜間体温測定については、就寝2時間前までに夕食および入浴を済ませ、普段用いている寝間着等に着替えるよう依頼した。測定は2夜連続して行い、初夜効果を考慮して第2夜のデータを採用した。また、夜間体温測定とは別の日に自転車エルゴメータによる漸増負荷テストを実施し、体力指標として最大酸素摂取量の推定を行い、年齢別に5段階評価した。 その結果、対象者の直腸温は、就寝後に一過性に低下した。その低下し続けた区間について回帰分析したところ、相関係数(r)は0.873~0.983(平均0.957)の範囲にあり、直線的に低下したことが示された。また、その区間における末梢温度と中心温度の差を積分して放熱の指標を算出し、最大酸素摂取量との関連をみたところ、有意な正の関連が認められた(r=0.90、p<0.05)。 これらの結果は、最大酸素摂取量のような全身持久的体力が高いと放熱能が高いことを示しており、それが直腸温の低下をより促している可能性を示唆していると考えられた。
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