平成25年度における課題は、運動トレーニングが夜間就寝時の放熱指標に影響を及ぼすかどうかを検討することであった。対象者は、一般成人女性5名(20~33歳)で、自転車エルゴメータによる漸増負荷テストを実施し、体力指標として最大酸素摂取量の推定を行った。最大酸素摂取量の50%に相当する負荷を算出し、自転車エルゴメータによる30分間の有酸素トレーニングを週3日4週間継続させた。有酸素トレーニングにより対象者の最大酸素摂取量は有意に向上した。 また、毎朝起床時に基礎体温を測定して確認しながら低体温相(月経終了後~排卵日前)に相当する期間に夜間体温測定実験を行った。夜間体温測定は、トレーニング期間の前後に2度実施した。測定当日就寝2時間前までに夕食および入浴を済ませ、普段用いている寝間着等に着替えるよう依頼した。測定は2夜連続して行い、初夜効果を考慮して第2夜のデータを採用した。対象者の直腸温は、就寝後に一過性に低下した。睡眠サイクルの第I相が平均的に約90~100分であることを考慮し、その区間における直腸温低下について回帰分析を行った。さらに、その区間における末梢温度指標(手のひら拇指球と足裏の皮膚温を重み付けしたもの)と中心温度指標(鎖骨下、へそ横、大腿中央の皮膚温を重み付けしたもの)の差を積分して放熱の指標を算出し、最大酸素摂取量とともに運動トレーニング効果を検討した。放熱指標は改善傾向は見られたが有意には至らなかった(p<0.1)。
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