研究課題/領域番号 |
23500813
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
竹内 裕之 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (00348129)
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研究分担者 |
倉林 正彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00215047)
児玉 直樹 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (50383146)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 個人健康管理システム / 健康データマイニング / 時系列相関解析 / クラスタ解析 |
研究概要 |
携帯電話を情報端末として、個人の生活習慣と日常の健康に関するデータをインターネット上のサーバに蓄積し、サーバ上で生活習慣と健康状態の相関ルール抽出(健康データマイニング)を行って個人に通知する、クラウドコンピューティングをいち早く具現化した健康管理システムを開発してきた。本研究では、開発したシステムを活用し、生活習慣と健康状態の相関の個人差を特徴付けるパラメータを抽出して、健康に関する個人の特質のクラスタ解析を試みる。これによりシステムのユーザを特質別にグループ化し、グループごとに適切な保健指導を行えるようにする。今年度は、(1)クラスタ解析を行うには多数のユーザが必要になるため、システムのユーザインターフェースを、健康管理のレベルに応じて階層分けして、ダイエットなどを目的とする一般の初心者でも容易に使えるようにし、(2)先行的に少数のユーザの時系列データを基に、生活習慣(ここでは、運動による消費エネルギーと食事による摂取エネルギー)の蓄積を表すデータ加算の、重み付関数の2つのパラメータの組み合わせ(μ, σ)が、健康状態(ここでは体脂肪率)の変化との相関において、個人の特質を表すとの想定のもとに解析を行った。 その結果、(1)1ユーザの7年余りに亘る時系列データを3カ月(季節)毎に区切って解析し、生活習慣データの重み付加算と健康状態の変化の時系列相関が最大を示す前記パラメータの組み合わせ(μ, σ)が、季節や加齢に依らずに特定の組み合わせ範囲に偏っている、(2)20ユーザの半年間の時系列データを3カ月毎に区切って解析し、前記パラメータの組み合わせ(μ, σ)が季節に依らずに2つのタイプにグループ分けされる傾向がある、ことなどが判った。 これらにより、前記重み付関数のパラメータの組み合わせ(μ, σ)が個人の特質を反映し、2つのタイプに分かれることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クラスタ解析には多数のユーザ数が必要になるため、研究計画通り、システムのユーザインターフェースを、健康管理の3つのレベルに応じて階層分けして、ダイエットなどを目的とする一般の初心者でも容易に使えるようにした。 さらに、先行的にシステムの既ユーザの時系列データを対象にして、生活習慣データ(ここでは、運動による消費エネルギーと食事による摂取エネルギー)の加算時の重み付に正規分布関数を活用するアイデアで解析を行い、正規分布関数の2つのパラメータの組み合わせ(μ, σ)が、少なくとも消費エネルギーおよび摂取エネルギーと体脂肪率の時系列相関において個人を特徴づける可能性が示唆された。 これにより、今後の研究の方向付けが明確になった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究で、先行的にシステムの既ユーザの時系列データを解析して、研究の方向性が見えてきたので、今後ユーザ数を増やしての解析を試みる。具体的には、イノベーション・ジャパンなどの展示会への出展や、大学の公開講座での説明会開催、インターネットコミュニティでのポータルサイト紹介などを通して、普及を図る。 外部のユーザ数獲得が困難な場合には、学生を含め学内でボランティアユーザを募り、補充する。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究開始時は、携帯電話をシステムの情報端末として用いていたが、スマートフォン(スマホ)の普及が著しく、ユーザ数を増やすためにはシステムをスマホ対応にすることが必須になった。そこで、当初の計画外であるが、主としてスマホ対応にシステムを改造するために研究費を用いる。プログラムやデータ解析のコストについてはできるだけ内部で処理する計画である。 また、次年度は海外での学会発表(IEEE EMBS)を予定しており、すでに論文投稿しており審査中である。
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