研究課題/領域番号 |
23500813
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研究機関 | 高崎健康福祉大学 |
研究代表者 |
竹内 裕之 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (00348129)
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研究分担者 |
倉林 正彦 群馬大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00215047)
児玉 直樹 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 准教授 (50383146)
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キーワード | 健康データマイニング |
研究概要 |
携帯電話を情報端末として、個人の生活習慣と日常の健康に関するビッグデータをインターネット上のサーバに蓄積し、サーバ上で生活習慣と健康状態の相関ルールを抽出(健康データマイニング)し個人に通知する、クラウドコンピューティングをいち早く具現化した健康管理システムを開発してきた。本研究では、開発したシステムを活用し、生活習慣と健康状態の相関の個人差を特徴付けるパラメータを抽出して、健康に関する特質のクラスタ解析を試みる。これによりシステムのユーザを特質別にグループ分けし、グループごとに適切な保健指導を行えるようにする。今年度は、以下の成果を得た。 (1)システムのユーザ数を増やすために、情報端末として普及が著しいスマートフォンでも使用できるようにシステムをバージョンアップした。 (2)昨年度の研究により、運動による消費エネルギー/食事による摂取エネルギーと体脂肪率変化との相関において、個人の特質を表す可能性のある重み付関数のパラメータの組み合わせ(μ, σ)を見出したが、今年度はさらに、個人の血圧や体脂肪率の長期にわたる変動の中にも個人の特質を表す要素が潜んでいることが明らかになった。あるユーザで、①収縮期および拡張期血圧とも顕著な生理学的季節変動を示し、夏冬の変動幅は、疫学的研究で得られている値より有意に大きくそれぞれ、約20 mmHg、10 mmHgであった。②血圧ほど顕著ではないが、脈拍数においても生理的な季節変動がみられ、冬場は夏場に比べ平均約10回/分多かった。さらにこのユーザの場合には加齢とともに平均脈拍数が高くなっていた。③体脂肪率も夏に低く冬に高いという顕著な季節変動を示し、加齢とともに変動幅が年々増加するという特徴がみられた。 これらから、生活習慣との関係において健康に関する個人の特質を調べるだけでなく、季節や加齢よる変化にも着目する必要があることが判った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生活習慣との関係における個人の健康の特質に注目して、そのパターン別にグループ分けすることを試みているが、血圧や体脂肪率などの健康状態そのものの季節変動が想定していたよりも大きく、その中にも個人の特徴がでてくる可能性があることが判った。従って、当初予想していたよりもパターン別解析が難しくなっており、また、システムのユーザ数も未だ目標数の1/3程度であるが、既ユーザにおけるデータ解析は進んでおり研究としてはおおむね順調といえる。
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今後の研究の推進方策 |
クラウド型健康管理システムの情報端末として普及の著しいスマートフォンでも使えるようにバージョンアップしたので、今後システムユーザ数の増加が期待できる。具体的には、今年度も8月末開催予定のイノベーション・ジャパンで展示することにより、システムの有効性をアピールする計画である(展示申込み登録済み)。また学内の学生ボランティアのデータも活用する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度の研究費は8月20-23日にデンマークで開催予定の国際学会"14th World Congress of Medical and Health Informatics (medinfo2013)"での成果発表(論文採択済み)に充てる他、データ解析・評価、ユーザ獲得に向けた展示会等の費用に用いる計画である。
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