研究概要 |
携帯電話を情報端末として、個人の生活習慣と日常の健康に関するデータを時系列的にインターネット上のサーバに蓄積し、サーバ上で生活習慣と健康状態の相関ルールを抽出(健康データマイニング)を行って個人に通知する、クラウド型の健康管理システムを開発してきた。本研究では、開発したシステムを活用し、生活習慣と健康状態の相関の個人差を特徴付けるパラメータを抽出して、健康に関する特質のクラスタ解析を試みた。平成23~24年度の主な成果を以下に纏める。 (1)システムのユーザ数を増やすために、情報端末として普及が著しいスマートフォンでも使用できるようにシステムをバージョンアップした。(2)運動による消費エネルギー/食事による摂取エネルギーと体脂肪率変化との相関において、個人の特質を表す可能性のある重み付関数のパラメータの組み合わせ(μ, σ)を抽出し、①比較的短期間に遅延なく体脂肪率変化する型と②長期に亘って遅延しながら体脂肪率変化する型にクラスタ化される傾向を見出した。(3)個人の血圧や体脂肪率の長期にわたる変動の中にも個人の特質を表す要素が潜んでおり、これにより生活習慣との関係において健康に関する個人の特質を調べるだけでなく、季節や加齢よる変化にも着目する必要があることが判った。 最終年度(平成25年度)はこれらの知見を踏まえ、ボランティアユーザにおいて蓄積されたデータに基づいて健康データマイニングのアルゴリズムが導き出すルールの妥当性を検証した。その結果、 (1)個人差と季節変動を考慮することにより、ほぼ適切に相関ルールが自動生成されるが、生活習慣と健康状態に強い非線形の相関がある場合に、誤りではないがユーザを混乱させるルールが抽出されることがある、(2)上記の場合、生活習慣データの範囲に制限を設けることにより適切に健康状態との間の相関ルールが抽出される、ことが判った。
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