研究課題/領域番号 |
23500816
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研究機関 | 女子栄養大学 |
研究代表者 |
平田 裕美 女子栄養大学, 栄養学部, 准教授 (60401585)
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研究分担者 |
小林 正子 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (50262069)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 青年期 / 養育行動 / 友人関係 / 精神的健康度 / 身体的変化 |
研究概要 |
本研究では、青年期の子どもの円滑な心身の成長を促進させるには、どのような環境整備が必要なのかという問いに基づき、中学生を中心に、身長・体重の時系列的変化と子どもの心理的ストレス(レジリエンス、ストレス耐性)、生活習慣、父親・母親の養育行動、学校生活における友人関係との関連を明らかにすることを目的としていた。そのため中学生と、その前後の発達段階にあたる、小学生(高学年)、高校生を対象に、青年期の子どもを取り巻く環境として、(1)家族の視点から、父親、母親の養育行動、日常的生活習慣(栄養素摂取含む)、(2)心身の視点から、頭が痛い、身体がだるい等の身体的状況、ストレス耐性、レジリエンス、そして(3)学校生活の視点から、友人関係に着目し、これらの要因から予測された因果関係を検討するための質問紙調査を実施した。 現在、これらのデータの打ち込み、処理、身長・体重の成長曲線プロットの作成など、結果の分析は終了している(小学生:男女93名、中学生:男女262名、高校生:男女278名)。 本研究では、精神レベルが身体レベルに直接、または間接的に影響するという仮説を起点に、発達臨床心理学の視点から、縦断的な研究デザインで分析することを試みている。この予測された因果関係を解読することは、精神的負荷(心理的ストレス)により思春期スパートと示される、自然な、身長、体重の成長の重要性を改めて見直す機会になる。同時に、教育現場が抱える「どのような教育支援をすれば、子どもの心身の健全な成長を促せるのか」についての具体的、実践的な方法を、現場の教員と論じられることにつながると考えられる。さらに、現時点までの分析結果は、成人後の生活習慣病への警鐘についても論じられると思われる。そのため、データ結果については、慎重な分析、検討の方針で進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の申請時に調査実施に前向きに取り組んでいただいていた調査協力校が、東日本震災地域と重なり、調査実施困難となった。しかし、本研究の趣旨を理解し、調査を許可いただいた小学校、中学校、高校の先生方の協力により、生徒への調査実施、データ回収は、当初の研究計画通り、順調に進んでいる。 また、調査に協力いただいた学校へのフィードバックの準備とあわせて、これらの結果の国内外の学会発表、投稿する準備も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進については、まず、現時点までのデータ結果を、国内外の学会にて発表、投稿することにより、本研究遂行に必要な、より多くの意見を求め、さらに情報収集を図る予定である。 その上で、特に、精神的負荷(心理的ストレス)により、身体計測値に自然な身長の「伸び」が見られなかったり、激しい体重の「変動」が示されたりする子どもに、教育現場では、どのように取り組みが可能か、必要なのかについてを、調査協力校への結果のフィードバックを通じて、模索・検討を行う。 これらのデータにおける「気になる子ども」への取り組みに関する模索から、青年期後期にあたる子どもを対象とした調査の実施準備を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
精神的負荷(心理的ストレス)と、身体計測値における身長の「伸び」、体重の「変動」についての検討より、自然な身長の「伸び」や急激な体重の「変動」が見られた生徒を中心に、教育現場としての取り組みを考える。そのため、生徒の心身の状況に応じて、ウェクスラー知能検査(WAIS-III)なども利用し、個々のケース・スタディからを健全な心身の維持、増進を促す青年期の子どもを取り巻く環境の整備についての模索・検討を進める方針である。 これらの内容を実施するため、初年度(平成23年度)の研究費を繰り越し、データ打ち込みの人件費、知能検査のコンプリートセット、情動知能など心身の状況を検討するための質問紙の購入、印刷、インクカートリッジなどを含む消耗品、そして、現時点で得られている結果を国内外の学会において発表、投稿する費用、さらに本研究の目的を明らかにするために必要な学会参加による情報収集や、教育現場との打ち合わせのための旅費などを前年度(平成23年度)とあわせた本年度(平成24年度)の研究費から支出したいと考えている。
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