研究課題/領域番号 |
23500820
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研究機関 | 昭和音楽大学 |
研究代表者 |
久保田 牧子 昭和音楽大学, 音楽学部, 准教授 (50329314)
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研究分担者 |
北島 正人 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (30407910)
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キーワード | 音楽療法 / 心身の健康 / 生理・心理指標 / 高齢者 / 精神疾患 / 発達障害幼児 / 歌唱・楽器活動 / 臨床実践モデル |
研究概要 |
音楽療法では音楽の機能がセラピスト(以下Th)と参加者の関係性の中で作用して、対象者に変化(行動・気分・適応など)を起こす。臨床現場では歌唱・楽器活動など複数の活動を組み合わせて実施しているため、各活動の効果を限定するのは困難である。本研究は歌唱と楽器活動を分けて一定期間実施し生理的・心理的客観指標を用いて効果を検討し、歌唱活動では後期高齢者、精神疾患入院患者の脈拍が有意に低下する結果となった。 最終年度は入所施設利用高齢者22名(認知症中度)、小規模通所施設高齢者12名(軽度認知症含む)および支援事業を利用する精神障害者6名の活動(歌唱、楽器)による音楽療法実施前後の生理指標の結果として、統計的に有意な差はなかったが脈拍が低下する傾向が認められた。 またThとの関係性に着目した「歌いかけ」によるアイコンタクトの継続時間について、自閉症スペクトラム幼児を対象に楽器活動を実施した。療育センターに在籍する幼児20名(1クラス5~8名の3クラス)を対象に8回連続で実施した。一列に並んだ幼児に対して順番にThが楽器を差し出し、各回2巡行った。歌いかけ無し(言葉による支援有り)3回、歌いかけ有り(8小節構成のオリジナル曲を使用)5回をクラス毎に同一Thが実施した(10~15分)。分析は持続時間記録法を用いて、DVD録画から各幼児の楽器演奏時間およびThとのアイコンタクト時間を観察者2名が計測した(1秒未満のデータは観察対象外とした)。結果の一致率は95.9~99.8%で、平均値をデータとしてt検定で統計処理した結果、自閉症スペクトラム障害の幼児16名について、歌いかけ(音楽)有り/無しのアイコンタクト時間の比較において、音楽ありに1%水準で有意差が認められた。慣れ親しみのない他者(Th)による限定された短期間の中で、歌いかけがアイコンタクトの持続時間を増加させることが確認された。
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