研究課題/領域番号 |
23500821
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研究機関 | 富山国際大学 |
研究代表者 |
大石 昂 富山国際大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20115132)
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研究分担者 |
大平 泰子 富山国際大学, 公私立大学の部局等, 講師 (00555188)
鈴木 国威 大阪人間科学大学, 人間科学部, 准教授 (20580913)
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キーワード | 感情イメージ / 感情 / イメージ / DV / デートDV / 愛着スタイル |
研究概要 |
本研究では、3年間にわたり延べ20回の研究打合せ会、2回のDV問題関係者へのヒアリング、大学生を対象とするイメージ調査の実施等を通して、感情イメージについての概念的検討イメージ調査法の妥当性と信頼性、応用可能性についての検討を行った。特に、イメージ調査法を、DV及びデートDVという今日的問題領域への適用を試みることで、その心理的機序を解明し、予防教育への新たな示唆を得ることができた。本研究の第1目的である「感情イメージの構造と機能の解明」に関しては、基本感情としてプルチックの8感情を想定することの妥当性が確認された。これにより、感情語を8語から4語に、対象語を30語から10語に絞った短縮版のイメージ調査法を作成して、DV問題に関する調査を実施できた。平成25年度に約600名を対象として実施した「若年層における恋人との付き合いに関する実態と意識の調査」の解析結果は、従来の調査法によるものとの整合性が高く、プルチックの8感情における「悲、喜、怒、嫌」の4感情の持つ重要度が確認された。本研究の第2の目的は、イメージ調査法をDV問題に適用することで、DVを巡る感情イメージ構造を検討し、その予防教育への示唆を得ることであった。ダットン(2007,2011)やブレナンら(1998)が指摘するように、DVは親密な他者の行動に対する認知の歪みが関与するものであり、「見捨てられ不安」(自己観)と「親密さの回避」(他者観)の2つの次元における愛着スタイルとの関連が考えられる。研究の結果は、先行研究を概ね支持するものであり、DV当事者(加害者・被害者)における認知的な歪みに対する臨床的アプローチの有効性を示唆するものであった。また、親密な他者との間に生じる心理的・身体的攻撃行動であるDVは、その感情イメージ構造において自傷行為との共通性が高く、両者の心理的機序に密接な関連があることが確認された。
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