研究課題/領域番号 |
23500824
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研究機関 | 愛知みずほ大学 |
研究代表者 |
山根 基 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (50410634)
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研究分担者 |
種田 行男 中京大学, 情報理工学部, 教授 (30185178)
加納 政芳 中京大学, 情報理工学部, 准教授 (90387621)
高見 京太 法政大学, スポーツ健康学部, 准教授 (90321223)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 健康教育 / ロボット / 運動習慣形成 / 子ども |
研究概要 |
本研究の目的は,家庭用体操ロボットを用い,保護者の観察・評価を含めた14日間の「ロボット体操スクール」プログラムを開発し,そのプログラムが対象者である子どもの運動意欲の高まりや体操習慣形成に及ぼす影響について検討することとした. 対象者は,名古屋市昭和区の子ども会の協力を得て,小学3~5 年生17 名とした.対象者は,英単語を学習しながら体力向上をめざした体操を,ロボットの動きを見ながら14日間自宅で毎日行なった.ロボットはヴイストン社製のRobovie-Xを使用し,サイズは高さ343×幅180×奥行き73mmで,重量は1.3kgとした. 対象者は毎日の体操の実施状況を体操日記に記録した.また,保護者は体操日記を用いて,毎日子どもの体操および英単語を評価した.ロボットとの体操期間終了後,対象者およびその保護者に,ロボットの第一印象,ロボットの使い具合,およびロボットへの要望などについてインタビューし,得られた対象者の発話内容を切片化,コード化,および構造化することによって,本ロボットの実用性に対する質的評価を行なった. 対象者の体操実施率(1週間の実施回数/7日×100)は,1週目では97.8%と非常に高く,2週目においても83.5%と高い値を維持した.また,保護者における子どもの体操および英単語の評価は,日数が経過するにつれて高くなった.対象者および保護者へのインタビューの結果,ロボットの存在および英語への関心により体操実施の動機づけとなったが,体操内容の不満により体操に対する飽きがみられたことが示された.しかしながら,家族のサポートが動機づけとなり,体操に対する飽きをフォローし,体操実施へとつながった.このことは本研究で用いた「ロボット体操スクール」プログラムが体操習慣の形成を支援するためのツールとして活用できる可能性を示唆した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,対象者である子どもの運動意欲が高まり,楽しみながら運動習慣を形成し,身体活動量の増加を支援するための家庭用運動支援ロボットを開発し,その実用性および有用性を検討することである.平成23年度は,このようなロボットを顕在化するために,ロボットに搭載する動作機能,音声機能,安全性などの検討と体操・運動プログラムのロボットへの搭載を完了することを目的とした.その結果,家庭用体操ロボットを用い,保護者の観察・評価を含めた「ロボット体操スクール」プログラムを開発した.そのプログラムは,英単語を学習しながら体力向上をめざした体操を,ロボットの動きを見ながら自宅で毎日行う内容とした.体操の種類は動物の動きを真似た全12種類の内容であり,1日に無作為に選ばれた3種類の体操を行う.対象者の保護者は,対象者のプログラム継続のために対象者の実施する体操および英単語の評価を行い,評価を通じて,親子の関係性の構築および子どもの体操実施における動機づけとなることを期待したプログラムとした.さらに,このプログラムを用いて,小学3~5年生の17名に対して14日間試験的に介入を行い,介入期間後のユーザビリティテストにより運動支援ロボットの実用性について質的評価を行なった.その結果,本研究で用いたプログラムが子どもの体操習慣の形成を支援するためのツールとして活用できる可能性を示唆し,さらに今後のプログラム改善に関する検討課題を得ることが可能となった.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度の研究では,英単語を学習しながら体力向上をめざした家庭用体操ロボットを開発し,そのロボットを用い,保護者の観察・評価を含めた14日間の「ロボット体操スクール」プログラムを小学3~5年生を対象に実施した.その結果,ロボットの存在および英語への関心などの効果により 14日間高い体操実施率がみられた.このことは本研究で用いた「ロボット体操スクール」プログラムが体操習慣の形成を支援するためのツールとして活用できる可能性を示唆した. 本研究の体操に対する飽きを防ぐ試みとしては,ロボットと一緒に体操を行う,体操しながら英単語の学習を行う,親の励ましの3点が挙げられる.これら3点が絡み合うことで,飽きがみられながらも体操の実施が行われていたと考えられる.しかしながら,本研究では介入期間が短いことから,これらの効果について明確にすることはできなかった.これらの結果を受けて,平成24年度の研究では長期間の研究介入が必要であると考えられる.また,子どもの体操に対する飽きへの対策としてプログラム内容の改善について検討する必要がある.
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次年度の研究費の使用計画 |
前年度の研究において,「ロボット体操スクール」のプログラムを小学3~5年生を対象に14日間実施し,このプログラムが体操習慣の形成を支援するためのツールとして活用できる可能性を示唆したが,介入期間が短かったことから,その効果について明確にすることはできなかった.そこで,平成24年度の研究では,介入期間を30日間に延長し,前年度と同様な保護者の観察・評価を含めた「ロボット体操スクール」プログラムを用い,子どもの運動意欲の高まりや体操習慣形成に及ぼす影響について検討する計画である. 30日間の介入を実施するにあたり,子どもの体操に対する飽きへの対策を行う必要がある.したがって,ロボットの体操種類の変更を行うため,動作の改良作業を行うための費用が必要となる.また,身体活動量の計測のための歩数計,インタビュー記録時のボイスレコーダーの購入が必要となる.プログラム入力補助,調査説明補助,インタビュー補助,行動観察データ整理を行う研究協力者に対して謝金を支払う必要がある.
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