研究課題/領域番号 |
23500824
|
研究機関 | 愛知みずほ大学 |
研究代表者 |
山根 基 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (50410634)
|
研究分担者 |
種田 行男 中京大学, 情報理工学部, 教授 (30185178)
加納 政芳 中京大学, 情報理工学部, 准教授 (90387621)
高見 京太 法政大学, スポーツ健康学部, 准教授 (90321223)
|
キーワード | 健康教育 / 子どもの運動習慣形成 / 運動支援ロボット |
研究概要 |
近年,わが国においては,生活の利便化などにより,子どもの日常生活における身体活動量が減少傾向にある.子どもの身体活動量を増加させるための働きかけを行う場所としては,学校のみでなく,子どもに及ぼす影響が大きいとされる家庭でのアプローチが重要な役割を果たすと考えられる.しかしながら,保護者のみでその役割を果たすことは大きな負担であり,これらの役割を支援するプログラムの開発が必要である.そこで本研究では,運動習慣を形成させるツールとして家庭用ロボットを活用したプログラムを開発することとした. 平成23年度の研究において我々は,ロボットを活用した体操および英単語学習プログラムを開発し,14日間の介入研究を行った.その結果,ロボットの存在および英語への関心などの効果により高い体操実施率がみられた.しかしながら,介入期間が14日間と短かったため,これらの効果を明確にすることはできなかった.そこで平成24年度の研究では,介入期間を28日間に延長し,前年度のプログラムをベースとして体操への飽きを抑制するためのツールを追加した新たなプログラムを考案し,そのプログラムが対象者である子どもの運動意欲の高まりや体操習慣形成に及ぼす影響について検討した.その結果,ロボットの存在および英語への関心などの効果により 28日間80%以上の高い体操実施率がみられた.体操実施に対する動機づけにつながった要因として,ロボットへの愛着,体操しながらの英単語の学習,および家族の励ましなどの要因が絡み合うことで,相乗効果として作用したものと考えられる.このことは本研究で用いた「ロボット体操スクール」プログラムが体操習慣の形成を支援するためのツールとして活用できる可能性を示唆した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初予定では,初年度はロボットに搭載する動作機能,音声機能,安全性などの検討と体操・運動プログラムのロボットへの搭載を完了させ,次年度には小学3,4年生の自宅に運動支援ロボットを配置し,ユーザビリティテストを通じて運動支援ロボットの実用性について質的評価を行う予定であった.しかしながら,初年度に使用する運動支援ロボットが予定より早期に完成したことで,初年度中に運動支援ロボットを用いた短期介入による質的評価に関する研究を行い,平成24年度には,プログラムを改良した内容で28日間の介入研究を実施した.その結果,ロボットの存在および英語への関心などの効果により 28日間高い体操実施率がみられ,体操実施に対する動機づけにつながった要因として,ロボットへの愛着,体操しながらの英単語の学習,および家族の励ましなどの要因が絡み合うことで,相乗効果として作用したことが推察された.このことは本研究で用いた「ロボット体操スクール」プログラムが体操習慣の形成を支援するためのツールとして活用できる可能性を示唆した. さらに,今後これらの結果を踏まえてプログラムを最終調整し,最終年度において運動支援ロボットを使用する群(介入群)と使用しない群(対照群)を設けて介入研究を実施し,運動支援ロボットによる支援効果を量的に評価する予定である.
|
今後の研究の推進方策 |
我々が平成24年度に行った先行研究では,運動支援ロボットを用い,保護者の観察・評価を含めた28日間の「ロボット体操スクール」プログラムを実施し,その結果ロボットへの愛着や保護者の励ましなどの要因により介入期間中高い体操実施率を維持したことを報告した.しかしながら,この研究では対照群を設定しておらず,ロボット活用による体操継続効果を明確にすることはできなかった.そこで,平成25年度は,ロボットによる体操を録画した映像(DVD)を対象者に提供し,保護者の観察・評価を含めた介入を対照群として設定する.そして,この対照群とロボットを用いた介入群の体操継続効果を比較検討することとする. 対象者は小学3,4年生を40名とする.対象者を介入群(ロボット使用)20名,対照群(DVD映像使用)20名に分ける.実施期間は,2013年7月中旬から8月末(夏休み期間)までとする.対象者は,介入1週間前から身体活動量を調査するため,1日の歩数を測定する.その後,介入群は,28日間毎日自宅で体操ロボットの動きを見ながら体操を行い,同時にロボットが発声する英単語を聞きながら英単語の発音練習を行う.対照群は,28日間毎日自宅でDVD映像(ロボットによる体操を録画)を見ながら体操を行い,同時に英単語の音声を聞きながら発音練習を行う.両群ともに,保護者は毎日体操日記を用いて,体操実施の有無(体操実施率),子どもの体操および英単語の評価を行い,これらの結果を両群で比較する.両群ともに,体操期間終了後に,対象者およびその保護者に対して事後調査(フォーカスグループインタビュー)を実施する. 両群中の希望者は,研究期間後に介入群ではDVD映像を使用したプログラム,対照群ではロボットを使用したプログラムを28日間行う.
|
次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
|