研究課題/領域番号 |
23500825
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研究機関 | 名古屋学芸大学 |
研究代表者 |
山内 惠子 名古屋学芸大学, 管理栄養学部, 講師 (90387910)
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研究分担者 |
坂根 直樹 独立行政法人国立病院機構(京都医療センター臨床研究センター), 予防医学研究室, 研究員 (40335443)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | カーボコントロール |
研究概要 |
欧米では、肥満や2型糖尿病の食事療法のひとつとして、ポーションコントロールがあり、その有用性が報告されている。一方、糖質制限食さえしていれば、たんぱく質や脂質を多く含んだ主菜は好きなだけ食べてもよいというような誤解も広まっている。 今回の研究テーマは、エネルギーと糖質を適度に制限し、減量や血糖コントロールの改善を目指した簡便なカーボコントロールの方法の開発にある。この方法はオリジナルの「ヘルシープレート」(お皿)に主食、主菜、副菜を一定比率で盛り付けるもので、処方方針は糖尿病の食品交換表の分類に基づく、糖質エネルギー比40~50%となっている。平成22年度から平成24年度にかけて、「ヘルシープレート」の開発及び妥当性の検討を行い、その有用性と効果について明らかにすることを目的に研究を進めている。 平成22年度は成人肥満者を対象としたシェープアップ教室に、また23年度は2型糖尿病患者を対象にカーボコントロール法を取り入れ、その有効性を確認した。 同じく、管理栄養士、患者および学生を対象にヘルシープレートを用いて食事配分を指導し、秤量法との比較を行い、プレートによる栄養素配分の妥当性の検討をを行った。その結果、総摂取エネルギー、炭水化物、たんぱく質、脂質摂取量他、各種栄養素について熱量および三大栄養素の栄養摂取配分は、指示範囲に盛り付けられ、適合の良さが確認された。また、学生を4群に分け、処方通りに盛り付けられているかの検討も行い、現在分析過程にある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)カーボコントロールを簡便に行うための、「ヘルシープレート」試作品(科研費外経費)を作成し、平成23年6月~9月までの3か月間、2型糖尿病患者へのプレテスト介入研究を実施し、体重、血糖値ともに良好な改善を確認した。また、患者自身がプレートに食品を盛り付けるだけで、栄養処方通りの摂取栄養状態になることが確認でき、患者さんの満腹感や満足度も高かったことが確認できた。3か月間の介入の結果、身体組成、検査データなど有意な改善が認められた。達成度80%である。(2)プレートのサイズ別における栄養配分の妥当性の研究:「ヘルシープレート」を用いた減量効果は、すでに検証されたため、プレートのサイズ別における栄養配分の妥当性を管理栄養学部の学生を対象に精査することができた。本年度の栄養改善学会にて報告予定。学会発表までつなげたことから達成度100%である。(3)「ヘルシープレート」法の開発:カーボコントロールを簡便に行うための「ヘルシープレート」法の開発が順調に進み、特許出願に向けての準備が整った。本年度の本研究に向けて、ヘルシープレート150枚を制作、完成させた。達成度100%である。
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今後の研究の推進方策 |
2型糖尿病患者70名を対象に簡単カーボコントロールの有用性の検証を行う。食品交換表を用いた食事指導6か月後、血糖コントロールが不良(HbA1c6.5%以上)の被験者を無作為に2群に分ける。前者は70名に対し「ヘルシープレート」を用いた簡単カーボコントロールのプログラムを6か月間提供する「ヘルシープレート」介入群、後者は従来の食品交換表を継続する対照群とする。血糖コントロールの変化などを比較検討する。測定項目:身長、体重、BMI、体脂肪率、血圧など身体組成、3日間食事記録より総摂取エネルギー、炭水化物、たんぱく質、脂質摂取量及び割合、身体活動量(IPAQを用いて)、食事関連QOL質問票、心理学的調査(ストレス調査票など)、低血糖の頻度、有害事象測定時期:ベースライン、6か月後。プリマリーエンドポイント:血糖コントロール指標であるHbA1cの改善。セカンダリーエンドポイント:体重、炭水化物摂取量、食事関連QOLなど。 サンプルサイズ:介入群のHbA1cの改善を0.4%、対照群のHbA1cを変わらずとし、標準偏差を0.5%、αエラーを0.05、パワーを0.8、脱落率を20%と仮定すると65名が必要となる。以上の計画から、簡単カーボコントロールが血糖コントロール改善及び体重コントロールに及ぼす影響について検討する。また、食事関連QOLや有害事象についても併せて検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、介入研究に突入することから、被験者の生理指標測定費用測定外注費、被験者謝礼などの経費が70~80名×3回分(初回、3か月後、6か月後)必要となる。また、介入研究のための心理テスト用紙代、POMS短縮版他印刷用、インク、調査質問紙作成用紙・インク等などの消耗品、体脂肪計、血圧計などの備品のかかる経費が必要。さらに、調査協力者謝礼、データ入力等に係る人件費他、研究打合せ(研究代表者及び分担者)打合せ交通費などが必要となる。平成25年度は、これら研究成果の発表、指導者研修会の開催や、教材・テキスト製本費など、実践に向けての研究費の使用計画がある。
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