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2012 年度 実施状況報告書

高血圧性心病変の形成におよぼす脂質合成系転写因子SREBP-1の役割

研究課題

研究課題/領域番号 23500835
研究機関筑波大学

研究代表者

久賀 圭祐  筑波大学, 医学医療系, 教授 (60241816)

研究分担者 酒井 俊  筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
島野 仁  筑波大学, 医学医療系, 教授 (20251241)
キーワード高血圧 / 線維化 / 炎症反応
研究概要

野生型および脂質合成系転写因子SREBP1-KOマウスに対して、アンジオテンシンII (Ang II)を投与すると、血圧は有意に上昇し、その程度に有意差はなかった。心機能評価を小動物用心臓超音波装置にて行った。左室中隔壁厚は、Ang II投与により野生型では有意に増加しており、KOマウスで同様の所見が得られた。一方、組織学的解析からは、野生型では血管周囲の線維化が著明であるのに対し、KOマウスでは線維化が抑制されていた。
その機序を検討するために、野生型とKOマウスの心臓における遺伝子発現をDNAマイクロアレイによって解析した。GEO (Gene Expression Omunibus ) の分類の中でどの項目が特徴的に変化しているのかを検討すると、野生型では細胞外マトリックス関連遺伝子群と炎症関連遺伝子群(chemokine関連遺伝子)の発現変化が著明であった。マイクロアレイ解析によって得た変動の認められる遺伝子群の発現変化は、定量PCRによっても確認された。一方、これらの遺伝子群の発現変化の程度は、KO群では軽減していた。これは、Ang IIが引き起こす高血圧性心病変の成立には慢性炎症反応が関与することを示唆し、その終末像として線維化が生じたことを示唆する。一方、KOマウスでは心肥大は野生型同様に心肥大が生じていながら線維化が抑制されていた。このことから、Ang II投与による心筋線維化の形成にSREBP1が関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

動物施設の繁殖スペースが限られておりなかなか繁殖数を確保できなかったため。
実験の申請書に記載した、エイコサペンタエン酸 (EPA) の入手が困難であったため。

今後の研究の推進方策

AngII投与による肥大心で生じる慢性炎症に関し、免疫組織染色・FACS・ウェスタンブロットの実験を行い、どの炎症フェーズでどの細胞が関与するのかを調べる。また、KOではなぜ線維化が軽減しているのかを培養非心筋細胞・心筋細胞を用いて明らかにする。

次年度の研究費の使用計画

該当なし

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Electrocardiographic determinants of the polymorphic QRS morphology in idiopathic right ventricular outflow tract tachycardia2012

    • 著者名/発表者名
      Igarashi M
    • 雑誌名

      Journal of Cardiovascular Electrophysiology

      巻: 23 ページ: 1881-1888

    • DOI

      10.1111/j.1540-8167.2011.02232.x.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] CYP2D6 genotype affects age-related decline in flecainide clearance: a population pharmacokinetic analysis2012

    • 著者名/発表者名
      Doki K
    • 雑誌名

      Pharmacogenet Genomics

      巻: 22 ページ: 777-783

    • DOI

      10.1097/FPC.0b013e3283588fe5.

    • 査読あり
  • [学会発表] Sterol regulatory element-binding protein-1 is involved in the development of angiotensin II-induced cardiac fibrosis

    • 著者名/発表者名
      Sakai S
    • 学会等名
      Basic Cardiovascular Sciences Conference 2012
    • 発表場所
      Hilton Hotel (New Orleans, USA)

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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