研究課題/領域番号 |
23500835
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久賀 圭祐 筑波大学, 医学医療系, 教授 (60241816)
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研究分担者 |
酒井 俊 筑波大学, 医学医療系, 講師 (30282362)
島野 仁 筑波大学, 医学医療系, 教授 (20251241)
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キーワード | 高血圧 / 線維化 / 炎症反応 |
研究概要 |
野生型および脂質合成系転写因子SREBP1-KOマウスに対して、アンジオテンシンII (Ang II)を投与すると、血圧は有意に上昇し、その程度に有意差はなかった。心機能評価を小動物用心臓超音波装置にて行った。左室中隔壁厚は、Ang II投与により野生型では有意に増加しており、KOマウスで同様の所見が得られた。一方、組織学的解析からは、野生型では血管周囲の線維化が著明であるのに対し、KOマウスでは線維化が抑制されていた。 その機序を検討するために、野生型とKOマウスの心臓における遺伝子発現をDNAマイクロアレイによって解析した。GEO (Gene Expression Omunibus ) の分類の中でどの項目が特徴的に変化しているのかを検討すると、野生型では細胞外マトリックス関連遺伝子群と炎症関連遺伝子群(chemokine関連遺伝子)の発現変化が著明であった。マイクロアレイ解析によって得た変動の認められる遺伝子群の発現変化は、定量PCRによっても確認された。一方、これらの遺伝子群の発現変化の程度は、KO群では軽減していた。これは、Ang IIが引き起こす高血圧性心病変の成立には慢性炎症反応が関与することを示唆し、その終末像として線維化が生じたことを示唆する。一方、KOマウスでは心肥大は野生型同様に心肥大が生じていながら線維化が抑制されていた。このことから、Ang II投与による心筋線維化の形成にSREBP1が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物施設の繁殖スペースが限られておりなかなか繁殖数を確保できなかったため。 実験の申請書に記載した、エイコサペンタエン酸 (EPA) の入手が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
AngII投与による肥大心で生じる慢性炎症に関し、免疫組織染色・FACS・ウェスタンブロットの実験を行い、どの炎症フェーズでどの細胞が関与するのかを調べる。また、KOではなぜ線維化が軽減しているのかを培養非心筋細胞・心筋細胞を用いて明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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