研究課題/領域番号 |
23500841
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
木原 勇夫 島根大学, 医学部, 准教授 (20116396)
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研究分担者 |
橋本 龍樹 島根大学, 医学部, 助教 (90252907)
松本 暁洋 島根大学, 医学部, 助教 (70346378)
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キーワード | 知的障害者 / 生活習慣病 / 健康科学 |
研究概要 |
知的障害者福祉施設入所者は、それぞれエアロバイク(A群; 7人)、トレッドミル(T群; 6人)、乗馬運動器(J群; 6人)を使って、平成23年10月から運動を行っている。運動能力の変化について、A群では7人中4人が最初6ヵ月間(前半)と比較して、後半6ヵ月(後半)の方が消費カロリーは増加した。T群では6人中全員が前半と比較して、後半が消費カロリーは増加した。J群では6人中3人が後半には運動器具から両手を放して運動ができるようになった。身体計測では、体重においては運動群が1年間で平均0.4 kg減少し、特にT群では平均1.5 kg減少した。運動前後に体脂肪率及びBody mass index (BMI)の減少をT群で認めた。血液検査では総コレステロール値が、運動しなかった群(対照群)では平均2.2 mg/dl増加したが、運動群では3.3 mg/dl低下し、特にJ群では8.8 mg/dl低下した。尿酸値は対照群では変化を認めなかったが、運動群では0.7 mg/dl低下し、特にJ群では1.1 mg/dl低下した。骨密度検査では、運動による変化を認めなかった。MRI検査による大腰筋の体積の解析では、運動群では左右合計して平均27.4 cm3減少し、対照群は平均10.8 cm3減少した。特にT群が最も減少し平均39.9 cm3減少した。また、運動前の大腰筋の体積の解析の時、被験者の平均7.1%の筋体積の左右差(最大16.9%)を認め、T群において2.4%改善した。これらの解析から、器具を使った運動、特にトレッドミルによる運動が体重減少、体脂肪率とBMIの低下及び大腰筋の左右差の改善に有効であった。なお、平成25年2月に施設で行った意見交換会において、器具による運動を楽しんでいると報告があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年2月に、施設の職員の方々にこれまでの研究経過を説明し、意見交換会を開催した。運動を行ってもらう被験者の1人は体調が悪くなり通院が必要になった方は、運動しないグループに代わっていただき、身体計測、血液検査、MRI検査は継続してもらった。また、1人の被験者は検査中に身体を静止することができずMRI検査を行うことができなかった。施設の職員の方々の負担を減らすために、運動の記録を紙に記入するだけにしたところ、「負担が減った。」と概ね好意的に評価していただいた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の推進には、最終年度でありこれまで蓄積したデータの解析に重点を置く。また、平成25年9月には日本体力医学会にてこれまでの研究成果を発表し、他の研究者と意見交換を行い、本研究の成果に結び付けたいと考えている。施設の職員は、運動を始めてからの被験者の方々の表情の変化を感じておられるようなので、アンケートかインタビューの形式で調査する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年1月から3月にかけて乗馬運動機器とトレッドミルが相次いで故障した。複数の被験者が定期的に使用しているため、今後も故障することが予測されるため、修理費を予算に計上する。平成23年度は震災による予算執行が変則的であったため、運動機器の購入台数を減らし、未使用金額が発生し、24年度に繰り越した。次年度は研究の最終年度の為、繰り越したお金は、研究をまとめるために、検査後、早期にMRI画像の解析を目的に、医学部学生による解析補助の時間を増すため、謝金を増加させる。また、学会発表のための旅費の増額と、論文投稿料等を計上する。それ以外は、測定機器の記録用紙等の消耗品の補充、血液検査、MRI検査、骨密度検査など前年度と同程度の支出を予定している。
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