研究課題/領域番号 |
23500845
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 助教 (00423715)
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研究分担者 |
吉松 博信 大分大学, 医学部, 教授 (00166993)
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 助教 (10457624)
千葉 政一 大分大学, 医学部, 助教 (20457633)
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 講師 (80343359)
清家 正隆 大分大学, 医学部, 助教 (40253794)
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キーワード | メタボリックシンドローム |
研究概要 |
肥満やメタボリックシンドロームの治療において食事への介入は重要である。食事への介入では食事の量や食事の内容への介入が主に行われている。一方で食事の量や内容とあわせて、間食や夜食などいつ食べたのかという食事の時間帯のずれ、いわゆる食事のリズムへの介入に当研究の意義と重要性はある。 当研究は、食事時間のリズムの違いと肥満症やメタボリックシンドロームとの関係についてマウスを用い解析した。マウスを摂食のリズムにより、通常摂食群、摂食量はかえずに暗期中心に摂食する暗期摂食群、明期中心に摂食する明期摂食群の3群に分け肥満症への影響について解析した。通常の餌では3群ともに大きな変化は認めなかったが、高脂肪食を摂取したときは明期中心に摂食する明期摂食群が有意に通常摂食群や暗期摂食群に比較して内臓脂肪量の増加 を認めた。併せて白色脂肪内の糖脂質代謝因子と脳内のリズム関連分子の変化を認めた。更に明期中心に摂食する明期摂食群で白色脂肪内のレプチンの増加とアディポネクチンの低下所見を認めた。また脳内ではヒスタミン合成酵素含量の暗期での低下が見られた。以上より高脂肪食負荷時に、通常は摂食しない明期中心に摂食することが肥満症の発症につながりその関連因子として脂肪組織のレプチン、アディポネクチン、脳内のヒスタミン合成酵素含量が関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究目的の達成度については、平成23、24年度はおおむね順調に進展した。平成23、24年度の計画では、摂食リズム変化モデル動物の末梢性因子の解析と脳からのリズム関連分子の解析を行う予定であった。当初の予定通り摂食リズム変化モデル動物の末梢性因子の解析としてレプチンが、脳からのリズム関連分子としてヒスタミン合成酵素の解析結果が得られている。 平成25年度の計画では、摂食リズム変化モデル動物の末梢性因子の解析と、脳からのリズム関連分子の更に詳しい解析を進めた。血中、末梢組織の糖脂質代謝因子の解析では白色脂肪、血中内の総アディポネクチンなどの組織内のサイトカイン測定を行い今回得られた因子との関連を調べ、脳内ではヒスタミン関連因子としてヒスタミン受容体の変化の解析を行った。しかし高分子型アディポネクチンなどの血中のサイトカインなど一部が解析中途になった。併せて脳内でのヒスタミン合成酵素含量と関連したヒスタミン受容体の変動の解析も一部がうまく検出できず再検討中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の今後の推進方策については今後、実験のモデル動物の維持とあわせて血中の高分子型アディポネクチンなどのサイトカイン測定を継続して行う。あわせて脳内でのリズム関連因子としてのヒスタミン受容体系の変動の解析を行う。そしてリズム異常に伴う肥満症モデルへのヒスタミン受容体作動薬の効果についても解析を進めていきたい。それらの研究計画を遂行する上で、ウエスタンブロッテイング法や免疫染色法で用いるより感度の高い抗体を購入予定である。併せて脳内でのリズム関連因子の変動の解析のために、より検出力の高い試薬も購入したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じた理由は、摂食リズム変化モデル動物の末梢性因子の解析と脳からのリズム関連分子の解析の過程において、高分子型アディポネクチンなどの血中のサイトカインなど一部が解析中途になったためである。また脳内でのヒスタミン合成酵素含量と関連したヒスタミン受容体の変動の解析もうまく検出できなかった。 今後の使用計画は、実験のモデル動物の維持とあわせて血中の高分子型アディポネクチンなどのサイトカイン測定を継続して行う予定である。あわせて脳内でのリズム関連因子としてのヒスタミン受容体系の変動の解析を行い、リズム異常に伴う肥満症モデルへのヒスタミン受容体作動薬の効果についても解析を進めていく予定である。
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